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OTSUMU KNOWLEDGE

Atlassianのチーム向けツール(Jira、Confluence)に学ぶ事業設計

チーム向けコラボレーションソフトを、無料版や少人数での購入から使い始めてもらい、組織内で利用を広げてサブスクリプション収入を積み上げる事例です。Form 10-K(FY2026)から、セルフサービス型の拡大と費用の重さを読み解きます。

この事例の要点

  • 同社は収益を主にサブスクリプション料として得ており、FY2026のTotal revenuesは6,572,308千ドル、うちSubscriptionが6,262,194千ドルでした(Form 10-K、FY2026)。
  • 新規顧客は通常、無料版の採用か、限られたユーザー数での単一アプリ購入から小さく始めると説明しており、既存顧客内での拡大を事業の主要な推進力としています(Form 10-K、FY2026)。
  • Cloud ARRが$10,000を超える顧客数は2026年6月30日時点で57,334と、2025年6月30日時点の51,978から増えました(Form 10-K、FY2026)。

どんな事業か

同社は「すべてのチームの可能性を解き放つ」ことを使命に、チームの協働を支えるソフトウェアを提供しています。主なアプリにはJira、Confluence、Loom、Jira Service Management、Rovo、Bitbucket、Trelloなどがあり、アプリ、AIエージェント、それらを組み合わせたCollectionsを、共通の基盤であるAtlassian Cloud Platform上で提供しています(Form 10-K、FY2026)。

顧客は350,000を超え、Fortune 500の85%超を含む小規模から大企業まで、200を超える国と地域に広がります。主要アプリのユーザーの50%超が業務チームに属するとしています(Form 10-K、FY2026)。

提供形態はCloudが主力です。顧客が自らのインフラで運用するData Centerについては提供終了を発表し、2026年3月時点で新規顧客への販売を終え、既存顧客への販売は2028年3月に終える計画です(Form 10-K、FY2026)。

収益の仕組み

同社は、ユーザー数の増加、ユーザーあたり平均価格の上昇、新しいアプリの採用を通じて、顧客数と顧客あたりの支出を伸ばしてきたと説明しています。セルフサービスを重視して試用と価値の実感を容易にし、組織内で利用が広がる仕組みを設けることで、営業部隊は既存の大企業顧客との関係の拡大と深化に集中できるとしています(Form 10-K、FY2026)。顧客数の定義は、2席(seat)以上の有効なサブスクリプションを持つ組織です。

収益の内訳は、クラウド上でソフトウェアを使う権利に対するサブスクリプション料が中心で、Data Centerの期間ライセンスやプレミアサポートもサブスクリプション収益に含まれます(Form 10-K、FY2026)。

費用面では、FY2026のCost of revenuesが996,830千ドル、Research and developmentが3,269,257千ドル、Marketing and salesが1,541,178千ドル、General and administrativeが754,688千ドルでした。また、従業員の約10%に影響する組織再編を行い、退職関連の費用として$203.9 millionを計上しました(Form 10-K、FY2026)。

数字で確かめる

  • Total revenues 6,572,308千ドル(FY2025は5,215,304千ドル)(Form 10-K、FY2026)。売上規模が拡大を続けていることが読み取れます。
  • Subscription ARR $6,606 million(2026年6月30日時点)、$5,382 million(2025年6月30日時点)(Form 10-K、FY2026)。継続課金の基盤が厚くなっていることが読み取れます。
  • Gross profit 5,575,478千ドル(Form 10-K、FY2026)。売上に対する提供原価が小さいことが読み取れます。
  • Operating income 10,355千ドル、Net loss 53,828千ドル(Form 10-K、FY2026)。粗利は大きい一方、開発と販売への投資で利益がほぼ残らない構造が読み取れます。
  • Free cash flow 1,319,075千ドル(非GAAP指標)(Form 10-K、FY2026)。会計上の利益が小さくても現金を生んでいることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。席数課金(ユーザー数課金)の型では、顧客の組織で使う人が増えるほど売上が増えます。同社が「2席以上」で顧客を数え、ユーザー数の増加を成長要因に挙げていることは、売上を人数の増加に連動させる設計と読めます。フリーミアムの型と組み合わせることで、導入時の判断を軽くし、まず一部のチームに使ってもらい、そこから組織内に広げる流れをつくっていると考えられます。Cloud ARRが$10,000を超える顧客の増加を重視しているのは、小さな入口から大きな契約へ育ったかを測るためと読めます。

この型が成り立つ条件は、営業担当が介在しなくても試せて、使い始めてすぐ価値を感じられる製品であることです。裏側では、その体験を支える開発に大きな費用がかかります。Research and developmentが3,269,257千ドルとTotal revenuesの大きな部分を占めていることは、その負担を示していると考えられます。

トレードオフとして注目したいのは、AIとの関係です。同社は人とAIのチームメイトが協働する仕組みを打ち出しています。仕事の一部をAIエージェントが担うようになると、人数に連動する課金だけでは提供価値を捉えきれない可能性があり、課金単位の設計が今後の論点になると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品は、営業担当が説明しなくても試して価値を感じられる状態になっているか。
  • 顧客の組織内で利用が広がったとき、それが売上の増加につながる課金単位になっているか。
  • 小さく始めた顧客が大きな契約に育ったかを測る指標を持っているか。
  • 人の作業が自動化で減ったとき、自社の課金単位は提供価値と合い続けるか。

小さく試すなら

  1. 既存顧客の利用状況を振り返り、最初の契約から利用人数や範囲が広がった顧客と、広がらなかった顧客を分ける。
  2. 広がった顧客3社に、社内で利用が広がったきっかけ(誰が、何を見て、なぜ)を聞き取る。
  3. 2週間程度で、無料の試用枠や少人数向けの入口プランを用意し、申込数と有料化の動きを記録する。
  4. 試用から有料化・拡大につながる流れが見えれば入口プランを正式化し、見えなければ試用中に価値を感じてもらう導線を見直す。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Atlassian Corporation / チーム向けコラボレーションソフト(Jira、Confluence)。参照資料:Form 10-K(FY2026)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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