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株式会社トリドールホールディングス「丸亀製麺」に学ぶ外食の国内外ポートフォリオ

丸亀製麺を中核に、国内の複数業態と海外事業を持つトリドールHD。売上収益278,715百万円の構造と、海外で減収でも事業利益が倍増した理由を、2026年3月期の決算短信から確かめます。

分類:企業事例 › 外食・レジャー

この事例の要点

  • 株式会社トリドールホールディングスの2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の連結売上収益は278,715百万円(前期比3.9%増)、事業利益は21,460百万円(同17.9%増)で、ともに過去最高と説明されています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 丸亀製麺の売上収益は137,193百万円(前期比7.1%増)、事業利益は21,955百万円(同5.1%増)で、連結の事業利益21,460百万円を上回ります。全社費用などの調整額が△9,933百万円あるためです(2026年3月期 決算短信)。
  • 海外事業は売上収益が101,895百万円(前期比2.7%減)でも、事業利益は5,285百万円(同109.4%増)となりました。事業の見直しが利益に表れています(2026年3月期 決算短信)。

どんな事業か

株式会社トリドールホールディングスは東京証券取引所に上場し、コード番号は3397です。決算短信は国際会計基準(IFRS)で作成され、丸亀製麺、国内その他、海外事業の3つの報告セグメントを示しています(2026年3月期 決算短信)。

丸亀製麺は、手づくり・できたてにこだわる讃岐うどん専門店で、全店に在籍する麺職人による味づくりを軸にしています。国内その他には「コナズ珈琲」「ラー麺ずんどう屋」「晩杯屋」「天ぷらまきの」「とりどーる」などの業態が含まれます。海外事業は、香港の「Tam Jai」、アジアや北米の「MARUGAME UDON」、英国の「Fulham Shore」を中心に構成されています(2026年3月期 決算短信)。

収益の仕組み

収益は、主力の一業態に、複数の業態と海外を重ねる構造です。決算短信から読み取れる構造は次のとおりです。

  • 主力:丸亀製麺。店舗887店(直営)で、期中の出店36店、閉店10店です。
  • 第二層:国内その他の業態。店舗292店(直営287店、FC等5店)です。
  • 海外:店舗923店(直営436店、FC等487店)。FC等は海外店舗の過半を占めます(487÷923)。
  • 運営方法の見直し:英国の丸亀事業をフランチャイズ化したほか、Tam Jaiを完全子会社化し、MONSTER CURRYを運営するMC GROUPの株式を売却するなど、海外のポートフォリオを入れ替えています。

売上を伸ばすための新規出店と、採算を見直すための閉店・売却・FC化を並行している点が、この構造の特徴です(2026年3月期 決算短信)。

数字で確かめる

  • 連結売上収益278,715百万円(前期比3.9%増)、事業利益21,460百万円(同17.9%増)、営業利益10,578百万円(同21.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,311百万円(同23.3%増)(2026年3月期 決算短信)。事業利益から営業利益への差は、主に減損損失によることが読み取れます。
  • 減損損失11,408百万円(114億8百万円)。主に海外事業の不採算店舗やのれんの減損と説明されています(2026年3月期 決算短信)。海外の見直しが、費用として一度に表れていることが読み取れます。
  • 国内その他の売上収益39,626百万円(前期比11.9%増)、事業利益4,152百万円(同6.6%減)(2026年3月期 決算短信)。原材料費や人件費の増加を増収で吸収しきれなかったことが読み取れます。
  • 海外事業の事業利益5,285百万円(前期比109.4%増)。計画3,600百万円を上回りました(2026年3月期 決算短信)。売上は減っても、不採算店舗の整理などで利益が改善したことが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー49,238百万円(前期比30.7%増)、親会社所有者帰属持分比率29.9%(2026年3月期 決算短信)。現金を生み出す力と、借入などを含む財務構造の両方を確認できます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、「主力で稼ぎ、周辺で試し、合わなければ入れ替える」というポートフォリオの運営として読めます。丸亀製麺の事業利益が連結の事業利益を上回っていることから、主力業態が利益の土台を作り、全社費用や新規業態の負担を支えている構造がうかがえます。

海外では、売上が減っても利益が倍増しました。完全子会社化、FC化、株式売却など、運営の形を変える選択肢を持つことで、規模より採算を優先する判断ができたと読み取れます。一方、英国のFulham Shoreは回復が想定より遅れ、事業再構築に着手したと説明されています。入れ替えは利益を押し上げる一方、減損という費用を伴う点も、数字に表れています。

中小企業の事業でも、主力の商品・顧客が稼ぐ利益の範囲で新しい試みを行い、結果によって続ける・形を変える・やめるを決める運用は参考になります。撤退の基準を先に決めておくことが、再構築を小さな損失で済ませる前提になると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の利益の土台になっている商品・顧客はどれで、全体の利益の何割を占めるか。
  • 新しい試みを続ける・形を変える・やめる基準を、始める前に決めているか。
  • 自社で抱え込まず、提携、委託、フランチャイズ的な形に変えられる事業はないか。

小さく試すなら

  1. 1週目:事業・商品ごとの売上と粗利を一覧にし、全社共通の費用を除いた利益の順位を出します。
  2. 2週目:利益の少ない取り組みを1つ選び、続ける条件と見直す条件を数値で書き出します。
  3. 3週目:運営の形(外注、提携、担当の変更など)を1つ変えた場合の費用と売上の見込みを試算します。
  4. 4週目:試算をもとに、小規模で試すか、現状維持かを決め、次回の確認日を設定します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社トリドールホールディングス(東証、コード3397)の外食事業。参照資料:2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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