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ユニ・チャーム株式会社「ベビー・フェミニン・ウェルネスケア」に学ぶ生活必需品の事業設計

紙おむつ・生理用品・大人用排泄ケアなどのパーソナルケアとペットケアで売上高945,268百万円を上げる構造です。国別に打ち手を変える海外展開と、中国の逆風下での利益の動きを、2025年12月期の決算短信から確かめます。

分類:企業事例 › 食品・消費財

この事例の要点

  • ユニ・チャーム株式会社は、パーソナルケア(ベビーケア・フェミニンケア・ウェルネスケア)とペットケアの2つのセグメントで事業を展開し、2025年12月期の売上高は945,268百万円(前期比4.4%減)でした(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 所在地別では、日本は売上高342,504百万円と安定する一方、中国は売上高78,024百万円(前期107,324百万円)でコア営業利益が△5,364百万円となり、地域で明暗が分かれています(同上)。
  • 市場ごとに商品の仕様・価格帯・売り方を変えており、インドでは個包装やフラットタイプの採用、東南アジアでは2ブランド戦略などが記載されています(同上)。

どんな事業か

ユニ・チャーム株式会社は東京証券取引所に上場し、決算短信はIFRS(国際会計基準)で作成されています。決算短信では、パーソナルケア事業として、ウェルネスケア関連(大人用排泄ケア用品、マスクなど)、フェミニンケア関連(生理用品など)、ベビーケア関連(紙おむつなど)を、ペットケア事業として、ペットフードやペットトイレタリーを展開していると説明しています(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

同社は「Love Your Possibilities」を掲げ、「共生社会(Social Inclusion)」の実現に向けた取り組みを推進したと述べています(同上)。

収益の仕組み

決算短信の記載から、収益の構造は次のように整理できます。整理はOtsumuによるもので、商品の使われ方は資料の説明の範囲です。

  • 入り口:対象となる人口と暮らしの場面が明確な商品を、地域ごとの習慣や価格感度に合わせて投入する。例として、インドでは個包装や折りたたみを省いたフラットタイプを導入し、取扱店舗数の拡大を進めたと記載されています。
  • 課金:おむつ、ナプキン、ペットのトイレ用品など、使うたびに買い足す生活必需品の販売。決算短信は国内について、取り扱う製品が生活必需品であることなどから需要は安定的に推移したと述べています。
  • 継続:ブランドを複数持ち、使う人の段階に合わせて乗り換えてもらう。ウェルネスケアでは、ADLに合わせたラインアップと、AIチャットボット「チャームさん」や「大人用おむつカウンセリング」で商品選びを支えています。また、保育施設向けの定額制サービス「手ぶら登園」にも取り組んでいます。

数字で確かめる

  • 連結:売上高945,268百万円(前期比4.4%減)、コア営業利益108,884百万円(同21.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益65,212百万円(同20.3%減)(2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。減収に加えて利益がより大きく減っていることが読み取れます。
  • セグメント:パーソナルケアの売上高774,428百万円(前期比6.3%減)・コア営業利益83,197百万円(同25.0%減)、ペットケアの売上高156,084百万円(同5.0%増)・コア営業利益24,067百万円(同6.9%減)(同上)。ペットケアは増収でも利益は減っていることが読み取れます。
  • 所在地別:日本の売上高は342,504百万円(前期339,922百万円)で、連結売上高の約36%にあたります。アジアは311,269百万円で、コア営業利益は16,748百万円(前期30,739百万円)でした(同上)。売上規模の大きいアジアで利益が大きく動いていることが読み取れます。
  • 要因の説明:アジアでは新興eコマース市場へのマーケティング投資や激しい価格競争で収益性が圧迫されたこと、中国では風評被害により一時的に販売機会が減少したことが記載されています(同上)。外部環境と競争が利益を左右していることが読み取れます。
  • インドのGST制度改正に伴い、当連結会計年度に6,920百万円の評価損失を認識したと記載されています(同上)。海外では税制の変更が損益に影響することが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、使うたびに買い足される消耗品を、暮らしの段階ごとに切り分けて持つ構造として読めます。ベビー、女性、高齢者、ペットはいずれも日々の必需品で、対象者が変わっても買い足しの習慣は続きます。国内の需要が安定的だという説明は、この性質を示していると考えられます。

同時に、海外では地域ごとの違いに合わせた設計が目立ちます。インドの個包装・フラットタイプ、中東のオリーブオイル配合の新商品、東南アジアの2ブランド戦略は、同じ商品を広げるのではなく、価格感度と習慣に合わせて仕様と売り方を変える例として読めます。一方で、価格競争やマーケティング投資で利益が圧迫される年もあることが、アジアのコア営業利益の変動からうかがえます。需要の安定と収益性の安定は別の問題だということです。

もう一つ注目したいのは、「手ぶら登園」のような定額制サービスや、使用済み紙おむつからの再生パルプなど、商品の周辺にサービスや循環の仕組みを足していることです。商品の差別化が難しくなったときに、使う場面の負担を減らす形で価値を足している取り組みと読めます。ただし、これらが利益にどの程度寄与しているかは、決算短信からは分かりません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品は、使うたびに買い足される構造になっていますか。そうでなければ、何を足せば継続して使われますか。
  • 市場や顧客層によって、価格感度や使われ方はどう違いますか。仕様や売り方を変える余地はありますか。
  • 需要が安定していても利益が不安定になる場合、その要因は競争、投資、制度のどこにありますか。

小さく試すなら

  1. 自社の商品・サービスを顧客層別に分け、購入頻度と1回の購入額を過去1年分で集計します。
  2. 最も購入頻度が低い層を1つ選び、その層に合わせた小容量・お試しサイズなど、手に取りやすい仕様を1案つくります。
  3. 2〜4週間、その案を限られた顧客に出し、試した人の割合と、その後の再購入を記録します。
  4. 結果をもとに、仕様を変える価値があるか、売り方だけを変えれば足りるかを判断します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ユニ・チャーム株式会社 / ベビー・フェミニン・ウェルネスケアおよびペットケア。参照資料:2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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