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この事例の要点
- バリューコマース株式会社は、成果が出たときに広告主が支払う報酬を、メディア(アフィリエイトパートナー)へつなぐ仲介と計測を担っています。
- アフィリエイトの売上は「ASP」「コンサルティング」「オプション」に分けて開示され、売上に対する直接粗利の出方が区分によって異なります。
- ECソリューションズ事業の二つのサービスの提供終了により連結売上高は大きく減り、同社は次期の見通しを営業損失としています。
どんな事業か
バリューコマースは、成果報酬型広告「アフィリエイト」を主要サービスとする会社です。報告セグメントは、マーケティングソリューションズ事業、ECソリューションズ事業、トラベルテック事業の3つです(2025年12月期 決算短信)。
マーケティングソリューションズ事業は「コマース事業者の集客と販売促進を支えるソリューションを提供する事業」で、主要なサービスがアフィリエイトだと説明されています(2025年12月期 決算短信)。
アフィリエイトには、商品やサービスを売りたい広告主と、それを紹介するメディア(アフィリエイトパートナー)が参加します。同社は両者のあいだに立つASPです。新しい取り組みとして、インフルエンサー向けのCPC専用プログラムや、成果報酬型広告ソリューション「リワードDSP」の提供開始も説明されています(2025年12月期 決算短信)。
収益の仕組み
アフィリエイトでは、広告主の商品がメディア経由で購入・申込みされるなどの成果が出たときに、広告主が報酬を支払い、その一部がメディアに支払われます。バリューコマースは、その仲介と計測を担います。
決算短信は、アフィリエイトの売上を次の三つに分けて開示しています(2025年12月期 決算短信)。
- ASP
- コンサルティング
- オプション
決算説明資料では、ASPの売上と直接粗利が同額で示されており、コンサルティングやオプションは売上に対して直接粗利が小さく示されています(2025年12月期 決算説明資料)。
また、同社は、アフィリエイトパートナーへ支払う成果報酬の全部を売上に計上した場合の概算値を、「グロス売上高」として別に開示しています(2025年12月期 決算説明資料)。同じ取引でも、どこまでを売上に含めるかで規模の見え方が変わるため、二つの見方を並べていると読めます。
数字で確かめる
- 2025年12月期の連結売上高は241億69百万円(前期比20.5%減)、営業利益は19億71百万円(同52.6%減)でした(2025年12月期 決算短信)。売上の減少よりも利益の減少のほうが大きい期だったことが読み取れます。
- マーケティングソリューションズ事業の売上高は130億25百万円(同2.6%増)、セグメント利益は12億42百万円(同19.0%減)でした(2025年12月期 決算短信)。主力の事業は増収でも、利益は減っていることが読み取れます。
- アフィリエイトの売上は、ASPが22億12百万円、コンサルティングが69億40百万円、オプションが33億91百万円でした(2025年12月期 決算短信)。売上の金額ではコンサルティングが最も大きいことが読み取れます。
- アフィリエイトの直接粗利率は、2025年第4四半期で28.6%でした(2025年12月期 決算説明資料)。売上のうち直接粗利として残る割合の水準が読み取れます。
- クリック課金型広告「StoreMatch」とCRMツール「STORE's R∞」は2025年7月31日付で提供を終了しました。同社は2026年12月期の見通しを、売上高144億円、営業損失7億円としています(2025年12月期 決算短信)。終了したサービスが、連結の売上高を大きく左右する規模だったことが読み取れます。
- 同社は、2025年はショッピングカテゴリが年間を通じて伸び、アフィリエイトが増収になったと説明しています。カテゴリ別構成(金融、ショッピング、家電、旅行、その他)は四半期ごとに開示されています(2025年12月期 決算短信、2025年12月期 決算説明資料)。送客先の業種の構成を、同社が継続して追っていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。送客の仲介は、広告主とメディアが直接つながれば不要になるように見えます。それでも仲介が成り立つのは、多数の広告主と多数のメディアのあいだで、成果を数え、照合し、支払うという仕事を、一か所でまとめて引き受けているからだとOtsumuは見ます。仲介の価値は、紹介先の多さだけでなく、成果の照合と、信頼できる取引の管理にあると考えられます。
裏側の仕事は目立ちませんが、量があります。どのメディアから来た利用者が成果に至ったのかを計測し、広告主がその成果を承認し、取り消しがあれば反映し、確定した分をメディアに支払う。この流れのどこかで数字が食い違えば、広告主とメディアの双方から信頼を失います。
トレードオフは二つあります。一つは、総額の売上が大きく見えても、パートナーへの支払い後に残る粗利は小さいことです。採算は粗利で見なければ、事業の大きさを見誤ります。もう一つは集中のリスクです。成果報酬は広告主の販売状況に連動し、取引先や提供するサービスが偏っていると、その終了が一度に損益へ響きます。Otsumuは、仲介型の計画では、粗利の水準と、取引先・流入元の偏りを、立ち上げの段階から併せて見ておく必要があると考えます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の仲介・送客事業について、総額の売上と、パートナーへの支払い後に残る粗利を、分けて把握しているでしょうか。
- 成果の発生から承認、取り消し、支払いまでの各段階で、誰が何を確認しているでしょうか。数字が食い違ったときの決め方はあるでしょうか。
- 売上や粗利の上位を占める取引先、カテゴリ、流入元はどこでしょうか。その一つが終了したときの影響を見積もっているでしょうか。
小さく試すなら
- 送客経路を一つに絞ります。一社の広告主と、少数のメディアまたは紹介者に限り、何を成果とするか、承認と取り消しの条件、支払いの時期を文書で決めます。
- 2〜4週間を目安に実際に送客を行い、成果の発生、広告主による承認、取り消し、支払いの各段階を一件ずつ追って記録します。
- 各段階で、照合にかかった時間、数字が食い違った件数とその原因、問い合わせの内容をまとめます。ここで分かるのは、件数が増えたときに照合の負担がどこに集中するかです。
- 総額と、パートナーへの支払い後に残る額を並べ、照合の工数と比べます。見合うと判断できれば経路を増やし、見合わなければ、成果の定義を単純にするか、計測の方法を見直してから再度試します。
資料の位置づけ
企業・サービス:バリューコマース株式会社 / 成果報酬型広告「アフィリエイト」。参照資料の対象:2025年12月期 決算短信・決算説明資料(2026年1月30日)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20