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Veritone「aiWARE」に学ぶAI基盤とデータ提供を組み合わせる事業設計の課題

AI基盤aiWAREを軸に、ソフトウェア、データ整備、コンテンツ権利の管理・許諾を組み合わせるVeritoneの事例です。売上の構成と継続企業の前提への言及を、Form 10-K(2025年12月期)から確かめます。

分類:企業事例 › ソフトウェア・SaaS

この事例の要点

  • Veritoneは、独自のAI基盤「aiWARE」を土台に、ソフトウェア(Software Products & Services)を主力とし、コンテンツの許諾や権利者の代理などのマネージドサービスを副次的な収益源とする事業を運営しています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年12月期の売上高は92.2百万ドルで、前期の92.6百万ドルとほぼ同水準です。ソフトウェアは増え、マネージドサービスは減りました(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 損失が続いており、同社は継続企業の前提(going concern)に関するリスクを開示しています。AIの技術があっても収益モデルが固まらないと、財務が重くなることを示す事例です(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Veritone, Inc.は、米国カリフォルニア州アーバインに本社を置き、Nasdaqに上場しています(Form 10-K、2025年12月期)。自社をAIコンピューティングのソリューション提供企業と説明し、AI基盤aiWAREが、機械学習のモデルや各種アプリケーションを使って、構造化・非構造化データから洞察を引き出すとしています。クラウド、エッジ、ハイブリッドのいずれでも展開できる設計です。

事業は、商業企業部門と公共部門に提供するSoftware Products & Services(aiWAREと採用向けの仕組み、関連する保守・導入支援を含む)と、商業企業部門向けのManaged Services(コンテンツ許諾、権利者の代理など)で構成されます。Veritone Data Refinery(VDR)は、データを統合・分析し、AIモデルの学習や、AIモデル開発企業へのデータ許諾にも使われるソフトウェアとして説明されています(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

同社は、売上を主にソフトウェアの提供から、副次的にマネージドサービスから得ると説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。

  • 入り口:AI基盤を、採用、公共、メディアなど用途ごとのアプリケーションとして提供します。
  • 課金:サブスクリプション型(SaaS)の年間経常収益と、利用量に応じた(consumption)収益の両方を開示しています。人材採用の領域は、顧客の採用活動の量に左右される従量型の収益です。
  • 権利管理:コンテンツ許諾では、権利者に代わって映像などの素材を管理し、映画、テレビ、スポーツ、広告の利用者へ許諾します。

数字で確かめる

  • 2025年12月期の売上高は92,192千ドルで、前期の92,637千ドルから0.5%減でした(Form 10-K、2025年12月期)。全体ではほぼ横ばいだったことが読み取れます。
  • Software Products & Servicesは65.8百万ドルで、前期の61.1百万ドルから7.8%増えました。増加の主因はVDRの売上で、人材採用の領域では利用量連動の売上が減りました(Form 10-K、2025年12月期)。新しいデータ関連の収益が、既存の従量型の減少を補ったことが読み取れます。
  • Managed Servicesは26.4百万ドルで、前期の31.6百万ドルから16.5%減でした。内訳は、許諾(Licensing)19,573千ドル、代理サービス6,800千ドル(前期12,550千ドル)です(Form 10-K、2025年12月期)。代理サービスの縮小が、減収の中心だったことが読み取れます。
  • 売上総利益は57.5百万ドルで、前期の61.7百万ドルから6.8%減でした。同社は、VDRなど粗利率の低い収益が増えたことが一因と説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。売上が増えても、収益の質(粗利)が変わることが読み取れます。
  • 継続事業の純損失は111,732千ドルでした(前期は96,332千ドル)。同社は、2026年11月に満期となる転換社債の返済を含め、継続企業の前提に関するリスクを開示しています(Form 10-K、2025年12月期)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、サブスクリプション、従量課金、データ活用ビジネス、権利の許諾という複数の型を、一つのAI基盤の上に重ねようとした設計と読めます。基盤を共通にして用途を増やすことは、開発の効率に有利です。一方、用途ごとに顧客も課金の形も違うため、収益の見通しは立てにくくなります。

数字から見えるのは、新しい収益(VDR)が伸びても、粗利率の低い収益が増えると、全体の利益が改善しにくいという点です。また、従量型の収益は顧客の事業量に左右されるため、採用領域の減少のように、外部環境で動きます。マネージドサービスでは、2顧客が収益の23%を占めると説明されています。

中小企業にとっての示唆は、新しい技術を軸に事業を広げるとき、用途を増やす前に、どの用途で、どの課金の形で、粗利がいくら残るのかを確かめる順序が大切だということです。技術の幅の広さが、そのまま収益の安定を意味するとは限りません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の技術や仕組みを、複数の用途に広げるとき、用途ごとの粗利を把握できているでしょうか。
  • 収益の中で、顧客の事業量に左右される従量型と、安定した継続型の比率は、どの程度が自社にとって無理がないでしょうか。
  • 新しい収益が伸びても全体の利益が改善しない場合に、早い段階で気づく指標は何でしょうか。

小さく試すなら

  1. 現在の売上を、用途や商品ごとに分け、それぞれの売上、原価、粗利を1枚の表に並べます。
  2. 粗利の低い順に、原価の主な内訳(外部サービスの利用料、人件費など)を書き出します。
  3. 粗利が低い用途について、価格の見直し、提供範囲の限定、課金単位の変更のうち、試せるものを一つ選び、数社に提案して反応を聞きます。
  4. 2〜4週間で、見直し後の粗利の見込みを再計算し、その用途を続けるか、絞るかの判断材料にします。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Veritone, Inc. / aiWARE。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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