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ウエルシアホールディングスのドラッグストアと調剤に学ぶ事業設計

ウエルシアホールディングスは、物販のドラッグストアに調剤を併設し、売上高1,285,005百万円の店舗網を築いています。日常の来店と専門的な用事を同じ店に集める専門店の設計を学べる事例です。

この事例の要点

  • ウエルシアホールディングスは、医薬品・化粧品・家庭用雑貨・食品などの物販と、店舗に併設した調剤を組み合わせたドラッグストアを展開しています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 当期の売上高は1,285,005百万円で前期比5.6%増えた一方、営業利益は36,409百万円で前期比△15.8%でした(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 品目別では調剤が282,548百万円(前期比110.0%)と伸びが大きく、調剤併設店舗は2,282店舗まで増えています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは主にドラッグストア業界で事業を行い、ウエルシア薬局、コクミン、ププレひまわり、丸大サクラヰ薬局、シミズ薬品、クスリのマルエなど複数の店舗ブランドを抱えています。当期は78店舗を出店、55店舗を閉店し、当連結会計年度末の店舗数は3,013店舗(うち国内3,001店舗、WELCIA SINGAPORE 12店舗)になったと説明しています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

売上は「物販」と「調剤」に分けて開示されています。物販は医薬品、化粧品、家庭用雑貨、食品、その他の品目で構成され、プライベートブランド「からだWelcia」「くらしWelcia」は当連結会計年度末に390品目となっています。調剤は、店舗に調剤を併設することで処方箋受付枚数を増やしてきたと同社は説明しています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

同社は2030年のありたい姿として「地域No.1の健康ステーション」を掲げ、たばこの販売は一部施設内店舗を除き終了しました。新たな戦略方針「ウエルシア2.0」では、プロダクト戦略、メディカル戦略、リージョン戦略と、それを支えるDXを中心に置くとしています。また、株式会社ツルハホールディングスとの経営統合を予定しており、当社株式は2025年11月27日をもって上場廃止になる予定と記載されています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

収入の中心は店頭での商品販売と調剤です。品目別売上高の合計1,285,005百万円のうち、物販計が1,001,484百万円、調剤が282,548百万円、手数料収入が972百万円でした(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

集客の仕組みとしては、前期から導入したWAON POINTサービスに伴い、ポイント会員「ウエルシアメンバー」が1,380万人まで増えたとし、ポイントカード・アプリの利用率向上を通じた集客施策の強化を続けるとしています。物販ではプライベートブランドの開発と拡販に注力したと説明しています(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用面では、キャッシュ・フローの説明で減価償却費22,461百万円、減損損失13,127百万円が挙げられています。一方、今回参照した公開資料には販売費及び一般管理費の内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • 売上高1,285,005百万円、前期比5.6%増(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。店舗網の拡大と既存店の伸びで売上規模が広がっていることが読み取れます。
  • 営業利益36,409百万円、前期比△15.8%。売上高営業利益率は2.8%(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収のなかで利益率が下がっていることが読み取れます。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益14,958百万円、前期比△43.5%(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。減損損失13,127百万円の計上もあり、最終利益が大きく減ったことが読み取れます。
  • 調剤282,548百万円、前期比110.0%。食品は299,514百万円、前期比108.7%(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。物販のなかでは食品が、物販以外では調剤が伸びを引っ張っていることが読み取れます。
  • 調剤取扱店舗は合計2,282店舗、当期末店舗数は3,013店舗(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。店舗の多くが調剤を併設していることが読み取れます。
  • ウエルシアメンバー1,380万人(2025年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。来店を促す会員基盤の大きさが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「専門店(カテゴリー特化)」の型で読むと、ドラッグストアという業態の中で「健康」に軸を置き、調剤という専門性の高い機能を物販の店舗に重ねている点が特徴です。処方箋を持った来店と、食品や日用品を買う日常の来店が同じ店舗に集まることで、1店舗あたりの来店理由が増える構造と読めます。調剤の前期比110.0%という伸びは、併設店舗を増やしてきた取り組みと整合します。

成り立つ条件として、調剤を扱える体制を店舗ごとに整えること、地域ごとの品揃えを調整すること、会員データを集客に生かすことが挙げられます。裏側では、出店と閉店の判断、子会社化した店舗網の統合、プライベートブランド390品目の開発・管理といった仕事が常に発生していると考えられます。

トレードオフも見えます。食品のような来店頻度を上げる品目を強化すると売上は伸びますが、同社自身が物価上昇による節約志向の強まりに触れているように、価格競争にさらされやすくなります。さらに当期は増収減益で、減損損失も計上しています。店舗数を増やす戦略は、店舗ごとの採算管理とセットでなければ利益に結びつきにくいと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 顧客が「日常の用事」と「専門的な用事」を同じ場所で済ませられる組み合わせを、自社の商品やサービスで作れるか。
  • 専門性の高い機能(調剤にあたるもの)を、既存の接点にどこまで併設できるか。そのために必要な人材や資格は何か。
  • 会員基盤を集客だけでなく、品揃えや新しい店舗フォーマットの判断に使えているか。
  • 拠点や商品を増やしたとき、採算の悪いものを見直す基準を先に決めているか。

小さく試すなら

  1. 既存顧客の利用履歴を見て、「日常的に使う商品」と「専門的な相談が必要なサービス」を両方使っている顧客の割合を把握します。
  2. 1つの拠点または1つのチャネルで、専門的な相談やサービスを既存の販売導線に併設する試行を2〜4週間行います。
  3. 併設前後で、来店・利用頻度と1人あたりの購入点数がどう変わったかを比べます。
  4. 利用頻度が上がり、追加の人員コストを上回る粗利が見込めることが分かれば、対象拠点を広げる判断に進みます。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:ウエルシアホールディングス株式会社 / ドラッグストアと調剤。参照資料:2025年2月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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