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Wingstop Inc.の手羽先チェーンのフランチャイズに学ぶ事業設計

Wingstopは店舗の約98%をフランチャイジーが運営し、売上の6.0%のロイヤルティと広告基金への拠出で本部が収益を得ています。加盟者の投資回収を軸にした軽資産のフランチャイズ設計を学べる事例です。

この事例の要点

  • Wingstopは手羽先を中心としたファストカジュアルのレストランチェーンで、店舗の約98%を独立したフランチャイジーが運営しています(Form 10-K、FY2025)。
  • 収益はフランチャイジーから受け取るロイヤルティ・広告分担金・加盟金と、直営店の売上で構成され、2025年度の総収益は$696.9 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 国内の標準契約ではロイヤルティが売上の6.0%、広告基金への拠出が5.5%と定められ、デジタル売上はシステム全体売上の73.2%に達しています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

Wingstopは、骨付き・骨なしの手羽先、テンダー、チキンサンドを注文ごとに調理し、12種類のフレーバーで仕上げて提供するレストランチェーンです。1997年にフランチャイズ展開を始めたと説明しています(Form 10-K、FY2025)。

2025年12月27日時点のシステム全体の店舗数は3,056店で、そのうち2,999店がフランチャイズ店(海外470店を含む)、57店が直営店です。海外は地域や国単位のマスターフランチャイジーが運営しており、海外店舗は18の国と米国領に広がり、すべてフランチャイズ店とされています(Form 10-K、FY2025)。

同社は、軽い資産で運営できるフランチャイズ中心のモデルが高い営業利益率と低い設備投資につながると考えていると述べています。国内のフランチャイジーは186社で、1社あたり平均約14店を運営し、平均の加盟期間は16年です。2025年12月27日時点の国内出店計画は100%が既存フランチャイジーによるものだとしています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

売上は3つに分けて開示されています。「Royalty revenue, franchise fees and other」が$321,782 thousand、「Advertising fees」が$247,619 thousand、「Company-owned restaurant sales」が$127,452 thousandでした(Form 10-K、FY2025)。

米国の契約では、エリア開発契約の締結時に出店予定1店あたり$10,000の開発料(返金なし)、出店ごとに$20,000の加盟金を受け取ります。標準のフランチャイズ契約では、フランチャイジーは割引控除後の売上の6.0%をロイヤルティとして支払い、さらに5.5%を広告基金(Ad Fund)に拠出します。この拠出率は2025年度の初日から5.3%から5.5%へ引き上げられました。海外のマスターフランチャイジーは地域の開発料、出店ごとの加盟金、売上連動のロイヤルティを支払います(Form 10-K、FY2025)。

費用面では、Advertising expensesが$261,545 thousand、Cost of salesが$96,058 thousand、Selling, general and administrativeが$128,356 thousandでした。また、フランチャイジーは鶏肉や食材、設備などを同社が指定・承認した仕入先からのみ購入することが求められており、鶏肉は2025年度の仕入全体の約57.2%を占めたとしています(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 総収益$696.9 million、前年度比11.4%増(Form 10-K、FY2025)。フランチャイズ網の拡大が本部の収益増につながっていることが読み取れます。
  • 営業利益(Operating income)$179,291 thousand、前年度比8.3%増(Form 10-K、FY2025)。本部の収益規模に対して利益の厚い構造が読み取れます。
  • 純利益$174.3 million、前年度比60.3%増。ただし投資売却益(Gain on sale of investment)$92,485 thousandが含まれます(Form 10-K、FY2025)。本業以外の一時的な要因が利益を押し上げたことが読み取れます。
  • システム全体売上約$5.3 billion、前年度比12.1%増。直営店の割合は2.4%(Form 10-K、FY2025)。売上の大半がフランチャイズ店で生まれていることが読み取れます。
  • 国内既存店売上は前年度比3.3%減、システム全体の店舗数は493店の純増で19.2%増(Form 10-K、FY2025)。成長が主に新規出店によって支えられた年であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。「フランチャイズ」の型で見ると、この事業はフランチャイジーの店舗売上に一定率を掛けたロイヤルティを本部が受け取る構造で、店舗の設備投資の多くを加盟者が負担します。本部は自らの資産を大きく増やさずに店舗網を広げられる一方、収益は加盟店の売上に直接連動します。そのため同社がAUVや初期投資、加盟者の投資回収の目標を細かく開示しているのは、加盟者にとって魅力のある店舗であり続けることがモデルの前提になっているからだと読めます。

裏側で必要な仕事は、加盟者の選定と4週間の研修、運営基準の徹底、指定仕入先と単一の物流網の管理、POSや自社デジタルプラットフォームの整備です。POSのデータに同社が継続的にアクセスできる契約は、ロイヤルティの算定根拠を把握する仕組みと考えられます。

トレードオフとしては、広告基金への拠出率を引き上げると本部の打ち手は増えますが、加盟者の負担も増えます。2025年度は国内既存店売上が減少しており、既存店の売上が伸びない状況で拠出率の高さを加盟者が受け入れ続けられるかは、新規出店の意欲にも影響すると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品やノウハウを他者に運営してもらう場合、相手が投資を回収できる根拠を数字で示せるか。
  • 収益を相手の売上に連動させる場合、その売上を正確に把握する仕組み(データの共有条件)を契約に組み込めているか。
  • 共通の広告やデジタル施策の費用を、誰がどの割合で負担するのが納得感のある設計か。

小さく試すなら

  1. 自社の業務やサービスのうち、他者に任せても品質を保てる工程を洗い出し、手順書にできる範囲を確認します。
  2. 1社の協力先を選び、売上連動の手数料と共通の販促費の負担割合を仮に決めて、2〜4週間の試行契約を結びます。
  3. 協力先の売上データを日次で共有してもらい、手数料の計算と品質チェックが無理なく回るかを確かめます。
  4. 協力先が「続けたい」と判断できる利益水準が確認できれば、同じ条件で2社目を募る段階に進みます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Wingstop Inc. / 手羽先チェーンのフランチャイズ。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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