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XPENG「EV販売と技術開発サービス」に学ぶ自社技術を収益化する事業設計

中国のXPENGは、スマートEVの販売に加えて、フォルクスワーゲングループ向けの技術研究開発サービスなどで収益を広げています。納車台数の増加に伴う増収と、サービス部門の高い粗利益率、縮まる純損失の構造を、SEC提出の20-Fから確かめます。

この事例の要点

  • XPENGは、スマートEVの販売と、技術研究開発サービスを含む「サービス・その他」で収益を得ています。他の自動車メーカーに自社の開発済みプラットフォームと技術を使う権利を与え、組み込みの開発サービスを行うと説明しています(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 2025年の収益は76,719.7百万人民元で、2024年の40,866.3百万人民元から増えました。納車は190,068台から429,445台へ増えています(Form 20-F、2025年12月期)。
  • サービス・その他の粗利益率は68.2%で、車両の粗利益率12.8%を上回っています。2025年の純損失は1,139.5百万人民元で、2024年の5,790.3百万人民元から縮まりました(Form 20-F、2025年12月期)。

どんな事業か

XPENG INC.は、広州に本社を置くケイマン諸島の企業で、米国の市場に上場し、SECにForm 20-Fを提出しています(Form 20-F、2025年12月期)。スマートEVの設計・製造・販売・サービスを行っています。

2023年7月に、フォルクスワーゲングループと戦略的な技術協業の枠組み合意を結びました。同グループの中国法人などが同社の約4.99%の株式を引き受け、2023年12月に約705.6百万米ドルを調達しています。2024年2月には、プラットフォームとソフトウェアの協業に関する基本契約を結び、フォルクスワーゲンブランドのBセグメントBEV2車種を共同開発するとしています(Form 20-F、2025年12月期)。

収益の仕組み

収益は大きく二つに分かれます。

  • 車両販売:スマートEVを売る収益で、2025年は68,378.9百万人民元でした。
  • サービス・その他:技術研究開発サービス、部品・アクセサリーの販売、カーボンクレジット取引、充電サービスなどで、2025年は8,340.8百万人民元でした。
  • 技術の収益化:自社開発のプラットフォームと技術の使用権を他の自動車メーカーに与え、その車両への技術統合の開発サービスを提供します。未履行の義務に対応する繰延収益(未納車の車両や技術研究開発サービスなどを含む)は、2025年末で2,669.1百万人民元です。

数字で確かめる

  • 2025年の納車は429,445台で、2024年の190,068台から125.9%増えました。車両販売収益は35,829.4百万人民元から68,378.9百万人民元に増えています(Form 20-F、2025年12月期)。収益の増加は主に車の台数の伸びによることが読み取れます。
  • サービス・その他は5,036.9百万人民元から8,340.8百万人民元に増えました。同社は、提携先との技術協業による開発サービス、部品・アクセサリー販売、カーボンクレジット取引の増加を理由に挙げています(Form 20-F、2025年12月期)。車以外の収益源が育っていることが読み取れます。
  • 車両の粗利益率は8.3%から12.8%へ、サービス・その他の粗利益率は57.2%から68.2%へ上がりました(Form 20-F、2025年12月期)。技術サービスが、全体の粗利益を押し上げる役割を持つことが読み取れます。
  • 売上総利益は5,845.8百万人民元から14,472.9百万人民元に増えました(Form 20-F、2025年12月期)。規模の拡大と利益率の改善が同時に進んだことが読み取れます。
  • 純損失は2023年に10,375.8百万人民元、2024年に5,790.3百万人民元、2025年に1,139.5百万人民元と縮小しました。ただし同社は、設立以来黒字化しておらず、営業活動によるキャッシュフローも設立以来マイナスだったと記載しています(Form 20-F、2025年12月期)。損失は縮まっても、黒字化は途上であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、自社で作った技術を「自社の車に載せる」だけでなく、「他社に使わせて対価を得る」道を開いた設計だと読めます。開発費は自社の車の台数で回収するのが基本ですが、同じ技術を他社の車にも使ってもらえれば、1回の開発を複数の収益源で回収できます。サービス・その他の粗利益率が高いのは、そのためと考えられます。

提携先の側にも理由があると考えられます。自前で開発するより、実績のある技術を使うほうが早く市場に出せる場合があるからです。株式の引受けを伴う提携は、双方が共同開発に取り組む意思を示す形になっています。

留意点は、この収益が少数の大型提携に依存しうることです。契約の進み具合で収益が認識される時期が動くため、四半期ごとの変動が出る可能性もあります。技術を売る事業は、本業の車の販売と並べて見る必要があると、Otsumuは考えます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が自分のために作った仕組みやノウハウを、他社が対価を払って使いたいと考える場面はあるか。
  • 技術やノウハウを外に出す場合、自社の競争力を守る範囲と、出してよい範囲をどこで分けるか。
  • 提携の収益が少数の相手に偏らないよう、契約の数や期間をどう設計するか。

小さく試すなら

  1. 1週目:自社内で使っている独自の仕組み、手順、ツールを一覧にし、他社に価値がありそうなものを3つに絞る。
  2. 2週目:各候補について、提供する場合の範囲、提供しない範囲、守るべき情報を書き出す。
  3. 3週目:取引先や知人の事業者2〜3社に、その候補が役に立つかをヒアリングし、費用の感覚を聞く。
  4. 4週目:反応が良かった候補1つについて、小さな試験提供の条件(期間、範囲、対価)案を作る。

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資料の位置づけ

企業・サービス:XPENG INC.「EV販売と技術研究開発サービス」(中国)。参照資料:Form 20-F(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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