ABC分析(パレート分析)とは
ABC分析とは、商品・顧客・取引先などを、売上や利益への貢献度が大きい順に並べ、累積の構成比をもとにA・B・Cの三つのランクに分け、ランクごとに管理の濃淡をつける分析手法です。
平たく言えば「重要なものとそうでないものを数字で仕分けて、力を入れるところを決める方法」です。すべての商品やすべての顧客に同じ手間をかけるのではなく、成果への影響が大きいものに集中するための判断材料になります。
「上位の一部が全体の大部分を占める」という経験則であるパレートの法則を背景にしていることから、パレート分析とも呼ばれます。結果を示すグラフ(棒グラフと累積の折れ線を重ねたもの)はパレート図と呼ばれます。
仕組み・やり方
ABC分析は、次の手順で行います。
- 分析の対象(商品、顧客など)と評価する指標(売上、粗利、出荷数など)を決める
- 対象ごとに指標の値を集計し、大きい順に並べる
- 全体の合計に対する各対象の構成比を計算する
- 上から順に構成比を足し合わせ、累積構成比を出す
- 累積構成比の区切りを決めて、A・B・Cのランクに分ける
- ランクごとに管理方針を決める
区切りの値は業種や目的で変わりますが、上位で全体の大半を占めるグループをA、その次をB、残りの多数をCとするのが一般的です。区切りは機械的に決めるより、管理にかけられる手間との兼ね合いで調整します。
| ランク | 特徴 | 管理方針の例(在庫管理の場合) |
|---|---|---|
| A | 少数だが貢献が大きい | 欠品させない。在庫を頻繁に確認し、発注を細かく管理する |
| B | 中程度 | 定期的な発注点管理で対応する |
| C | 数は多いが一つひとつの貢献は小さい | 発注をまとめる、取り扱いの見直し候補にする |
実務での使い方・具体例
架空の工具の卸売会社を例にします。取り扱い品目が数千点あり、倉庫は手狭で、売れ筋の欠品と売れない商品の在庫過多が同時に起きていました。
この会社は、直近一年間の粗利で商品のABC分析を行いました。その結果、Aランクの品目は全体のごく一部でしたが、粗利の大半を占めていることが分かりました。そこで次の対応を取りました。
- Aランクの品目は、毎週在庫を確認し、欠品しそうなものを早めに発注する
- Bランクは、月に一度の発注点の見直しで管理する
- Cランクのうち一定期間出荷がないものは、取り扱い継続の要否を営業と相談して決める
同じ会社は顧客のABC分析も行い、Aランクの取引先には担当者が定期訪問し、Cランクの取引先にはWebでの注文を案内するなど、営業の手間の配分も見直しました。
ABC分析は、在庫管理、営業の担当割り当て、問い合わせ対応の優先順位、商品ラインナップの見直しなど、さまざまな場面で使えます。
さらに一歩進めると、二つの指標を掛け合わせて分類する方法もあります。たとえば「売上のランク」と「出荷回数のランク」を組み合わせると、売上は大きいが注文はまれな品目と、売上は小さいが頻繁に注文される品目を区別できます。前者は取り寄せ対応でもよいかもしれませんが、後者は欠品すると多くの顧客に迷惑がかかるため、在庫を切らさない方がよい、といった判断ができるようになります。
よくある誤解と注意点
- Cランクをすぐに切り捨てない:Cランクの商品が、Aランクの顧客にとって欠かせない品目であることもあります。顧客との関係や、品ぞろえとしての役割も考えて判断します。
- 売上だけで評価しない:売上が大きくても利益が出ていない商品があります。目的によっては粗利で評価した方が実態に近くなります。
- 期間の選び方で結果が変わる:季節商品や新商品は、短い期間では正しく評価できません。期間を変えて見比べることも大切です。
- 一度で終わりにしない:売れ筋は変わります。定期的に分析し直し、ランクの変化を追いかけます。
- ランクの境目にある対象を機械的に扱わない:区切りのすぐ下にある品目や顧客は、少しの変化でランクが入れ替わります。境目付近は個別に事情を確認します。
- ランク分けの基準を共有する:営業と倉庫で違う基準を使うと混乱します。指標と区切りを文書に残しておきます。
関連用語
- RFM分析:購買の新しさ・頻度・金額で顧客を分類する手法
- セグメント分析:顧客や商品をグループに分けて比べる分析
- WMS(倉庫管理システム):ABC分析の結果を在庫管理に生かすシステム
- ボトルネック:全体の成果を制約している箇所
- ダッシュボード:ランクの変化を継続的に見るための画面
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Otsumuに相談できること
ABC分析は、分析そのものより「ランクごとに業務をどう変えるか」を決めるところで成果が分かれます。OtsumuのKPI改善コンサルティングでは、分析結果を在庫や営業の運用ルールに落とし込むところまで支援します。毎回Excelで集計している場合は、在庫管理システム開発やダッシュボード開発で仕組み化することも可能です。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01