デザイン思考とは
デザイン思考とは、利用者の状況や感情を深く理解することから始め、問いを定め、アイデアを出し、試作して検証する、という一連の進め方です。デザイナーが課題解決に用いる考え方を、事業やサービスの設計に広げたものです。
「デザイン」は見た目だけでなく、課題解決の設計全体を指す意味で使われます。「思考」は、その進め方を指します。人間中心の発想で、創造と検証を繰り返す点に特徴があります。
デザイン思考の段階
よく紹介される段階を、次の表に整理します。呼び方や段階の数は流派によって異なります。
| 段階 | 内容 | 成果物の例 |
|---|---|---|
| 共感 | 対象者を観察し、話を聞く | 観察記録、共感マップ |
| 問題定義 | 取り組む問いを定める | 問いの文章 |
| 発想 | 多くのアイデアを出す | アイデアの一覧 |
| 試作 | 素早く形にする | 簡易な試作品 |
| 検証 | 利用者に試してもらう | 検証の結果、改善点 |
重要なのは、これが一方向に進むとは限らず、検証の結果から前の段階に戻ることがある点です。たとえば、試作の結果、問いの立て方が適切でなかったと分かれば、問題定義へ戻ります。
試作は、完成度より速さを重視します。小さく、安価に作り、早く学ぶことで、大きな投資の前に誤りに気づけます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、地域の住民向けの情報サービスを考えるチームを想定します。まず住民の生活を観察し、話を聞いて、情報を得る場面での困りごとを理解します。そこから、「忙しい人が必要な情報にたどり着けない」という問いに絞り、アイデアを多数出します。
次に、紙のカードを使った簡単な模擬画面を作り、住民に使ってもらいます。使い方を観察すると、想定と異なる迷いが見つかります。その結果を受けて、問いや案を見直します。
新規事業では、発想の段階で終わらず、実際の利用者に試して判断を得るところまで進めることが成果を左右します。ワークショップの熱量を、検証の行動につなげる設計が必要です。
よくある誤解と注意点
よくある誤解は、デザイン思考をアイデア出しのワークショップと同一視することです。発想会は一部にすぎず、利用者の理解と、試作による検証が本質です。
また、手順どおりに進めれば必ず良い結果が出る魔法の方法ではありません。対象の選び方や、検証の質によって、成果は大きく変わります。
さらに、事業の収益性や実現可能性の検討は、デザイン思考だけでは足りません。利用者にとって望ましいことに加え、事業として成り立つか、技術的に実現できるかも併せて検討する必要があります。複数の観点で判断する姿勢が重要です。
取り組みの規模は、段階的に広げられます。最初は少人数で短期間に一巡させ、学びを得てから、範囲を広げます。小さな一巡を何度も回すほうが、大きな計画を一度に進めるより学習が早くなります。
取り組みの前に、検証の結果で何を判断するのかを決めておくと、活動が目的を見失いません。試作の数や期間にも上限を設け、小さな検証を素早く回すことを意識すると、学びが早く、手戻りも抑えられます。
特に、試作の検証結果を受けて、問いの立て方を見直す勇気を持つことが重要です。
関連用語
- 共感マップ:共感の段階で、対象者の理解を整理する図です。
- インサイト:観察から得る、行動の理由への深い理解です。
- リーンスタートアップ:小さく試して学ぶ点で共通する、事業づくりの方法論です。
- 仮説検証:試作と検証の段階を支える、前提の確認の考え方です。
Otsumuに相談できること
発想で終わらせず、検証と判断までつなげることが、デザイン思考を事業に活かす鍵です。Otsumuでは、試作と検証の進め方について、事業の状況に合わせた支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04