業務棚卸しとは
業務棚卸しとは、部署や担当者が日々・毎月・毎年行っている業務をすべて洗い出し、それぞれの内容、頻度、所要時間、担当者、使っている道具などを一覧に整理することです。平易に言えば「倉庫の在庫を数えるように、自分たちがどんな仕事をどれだけ抱えているかを数え上げること」です。
小売業などで在庫を数えて記録する「棚卸し」になぞらえた言葉です。業務改善、自動化、人員配置の見直し、業務の委託、引き継ぎなど、多くの取り組みの出発点になります。業務の可視化の最初の一歩と位置づけられることも多い作業です。
棚卸しで整理する項目
業務棚卸しでは、業務ごとに次のような項目を一覧表にまとめるのが一般的です。
| 項目 | 内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 業務名 | 何の業務か | 請求書の発行 |
| 目的・成果物 | 何のために行い、何を作るか | 取引先へ請求書を送付する |
| 担当者 | 誰が行っているか | 経理Aさん(代わりはいない) |
| 頻度 | 日次・週次・月次・随時など | 月次(月末) |
| 所要時間 | 1回あたりの時間 | 約4時間 |
| 使う道具 | システム、ファイル、紙 | 販売管理、Excel、郵送 |
| 前後の業務 | どこから受け取り、どこへ渡すか | 営業の売上報告 → 入金確認 |
| 困りごと | ミス、待ち時間、負担 | 転記ミスが起きやすい |
業務の粒度をそろえることが大切です。「経理業務」のように大きすぎても分析できず、「ボタンを押す」のように細かすぎても全体が見えません。目安は「一人がまとまった時間をかけて完了させる一つの仕事」程度です。
実務での使い方・具体例
業務棚卸しの進め方の一例です。
- 目的を決める:自動化の対象を探すのか、人員配置を見直すのか、引き継ぎに備えるのか
- 一覧表のひな形を作り、項目と粒度の目安を示す
- 担当者に自分の業務を書き出してもらう。日次・月次・年次・随時の業務を思い出すきっかけとして、カレンダーやメールの履歴を見てもらう
- 管理者が内容を確認し、抜けや粒度のばらつきを調整する
- 頻度×所要時間で負担の大きい業務、特定の人しかできない業務、ミスの多い業務に印を付ける
- 印の付いた業務について、なくす・まとめる・自動化する・委託するのいずれで対応するかを検討する
たとえば、あるサービス運営チームで棚卸しをしたところ、月に一度の利用状況レポートの作成に、三人がそれぞれ別のデータを集めて合計で丸一日以上かけていることが分かったとします。データの取得と集計を自動化し、レポートを一本化すれば、チーム全体の負担が大きく減ります。このように、棚卸しをすると「個人ではそれほど大きく感じていない業務が、チーム全体では大きな負担になっている」ことに気づけます。
棚卸しの結果から自動化の対象を選ぶ方法は自動化すべき業務の見つけ方、運用業務の棚卸しは自社サービス運用の手作業を減らすでも解説しています。
年に一度の見直し
一度作った業務一覧は、年に一度など定期的に更新すると、新しく増えた業務や不要になった業務に気づけます。異動や採用のタイミングに合わせて見直すと、引き継ぎ資料としてもそのまま使えます。
よくある誤解と注意点
よくある失敗は、棚卸しの一覧表を作ること自体が目的になり、その後の改善につながらないことです。最初に目的を決め、棚卸しの後に「どの業務をどう変えるか」を決める場までを計画に含めておきましょう。
また、担当者に書き出しを依頼すると、普段意識していない業務が漏れやすくなります。年に一度の決算業務や、突発的なトラブル対応、ほかの人から頼まれる細かな作業などは特に抜けがちです。カレンダーやメール、チャットの履歴を見返しながら書き出してもらうと、漏れを減らせます。
さらに、担当者が「業務を減らされる」「評価に使われる」と不安を感じると、実態より多く、あるいは少なく書かれることがあります。棚卸しの目的が担当者の負担軽減であることを最初にきちんと伝えましょう。
所要時間の数字にこだわりすぎないことも大切です。自己申告の時間は人によって感覚が異なり、正確さには限界があります。数分単位の精度を求めるより、「どの業務が相対的に重いか」が分かれば、多くの判断には十分です。より正確な数字が必要な業務だけ、一定期間の記録をとって確かめるとよいでしょう。
関連用語
- 業務の可視化:業務の実態を見える形にする取り組み全般
- 業務フロー図:棚卸しした業務の流れを描いた図
- ECRS(改善の4原則):棚卸しした業務を見直すための原則
- 属人化:棚卸しで見つかる代表的な問題
- BPO:棚卸しした業務の一部を外部に委託する方法
Otsumuに相談できること
業務棚卸しは社内で進められる取り組みですが、日常業務と並行して進めるのは負担が大きく、結果をどう改善につなげるかの判断も難しいところです。Otsumuの自社サービス運用の自動化コンサルティングでは、棚卸しの設計から、結果をもとにした自動化・委託・業務見直しの優先順位づけまでを一緒に進めます。
「まずは自社の業務を整理したい」という段階でも構いません。30分の無料相談でお話を伺います。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01