RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは
RPAとは、人がパソコンの画面上で行っているクリック、コピー、貼り付け、入力といった定型操作を、ソフトウェアのロボットに覚えさせて代わりに実行させる仕組みです。言い換えると「画面操作を真似して繰り返してくれる自動操作ツール」です。
正式名称は Robotic Process Automation で、物理的なロボットではなく、パソコン上で動くプログラムを指します。工場の産業用ロボットがライン作業を担うように、事務作業の繰り返しを担う存在としてこの名前が付きました。
仕組みと得意・不得意
RPAは、アプリケーションの画面要素(ボタンや入力欄)を識別し、人と同じ順番で操作します。システム側に連携用の口(API)がなくても、画面さえあれば自動化できるのが最大の特徴です。
| 観点 | RPAが向いている | RPAが向いていない |
|---|---|---|
| 作業の性質 | 手順が毎回同じ、判断が少ない | 例外が多い、毎回判断が必要 |
| 対象システム | APIがない古いシステムや社外のWeb画面 | APIが用意されたクラウドサービス |
| 画面の変化 | 画面がほとんど変わらない | 頻繁にレイアウトが変わる |
| 頻度と量 | 毎日・毎月繰り返す大量の作業 | 年に数回しか発生しない作業 |
動かし方には大きく二つあります。担当者のパソコン上で人の操作と並行して動かす「デスクトップ型」と、サーバー上で複数のロボットを管理・スケジュール実行する「サーバー型」です。小さく始めるならデスクトップ型、全社で数十本のロボットを動かすなら実行状況を一元管理できるサーバー型が選ばれます。
ロボットの作り方も製品によって異なります。人の操作を録画するように記録して作る方式、部品を並べてフローを組み立てる方式、スクリプトを書いて細かく制御する方式などがあり、現場担当者が自分で作るのか、専任の担当者や外部の開発者が作るのかによって向く製品が変わります。製品を選ぶときは、機能の多さよりも「誰が作り、誰が直すのか」を先に決めておくと失敗しにくくなります。
近年は、画面上の文字を読み取るOCRや、文章を理解する生成AIと組み合わせ、請求書の読み取りやメールの分類といった「少しだけ判断が必要な作業」までRPAの守備範囲を広げる使い方も増えています。ただし、判断を伴う部分ほど誤りが混ざりやすいため、人が確認する工程を残す設計が前提になります。
実務での使い方・具体例
たとえば、ある卸売会社で、取引先のWeb受注画面から毎朝注文データをダウンロードし、社内の販売管理システムに一件ずつ入力している業務があったとします。取引先のシステムにはAPIがなく、販売管理システムも古いため、RPAで「ログイン → CSVダウンロード → 社内システムへの入力 → 完了メール送信」を自動化する、というのが典型的な使い方です。
一方、連携先がどちらもAPIを持つクラウドサービスであれば、画面を操作するより、APIで直接データを受け渡すほうが速く壊れにくくなります。RPAは「APIでつなげない部分を埋める手段」と位置づけると判断を誤りにくくなります。詳しい比較はRPAとAPI連携の違いで整理しています。
導入の手順は次の流れが基本です。
- 対象業務の手順を書き出し、例外パターンを洗い出す
- 例外を減らせないか、手順自体を見直す
- 小さな業務で試作し、一定期間並行稼働で結果を確認する
- 停止時の連絡先と手作業への切り戻し手順を決めてから本番化する
効果を測るときは、削減できた作業時間だけでなく、入力ミスの減少、締め切り遅れの解消、担当者が本来の業務に使える時間が増えたかといった観点も合わせて見ると、続けるべきロボットと見直すべきロボットの区別がつきやすくなります。
よくある誤解と注意点
最も多い誤解は「一度作れば放っておいても動き続ける」というものです。RPAは画面の見た目に依存するため、対象システムのアップデートやボタン位置の変更、ログイン方式の変更で簡単に止まります。止まったことに気づかず、数日分の処理が漏れていたという事態も起こり得ます。
また、作った担当者が異動・退職して誰も直せなくなる「野良RPA」の問題もよく起こります。ロボットの一覧、担当者、処理内容、停止時の対応をまとめた台帳を作り、変更の窓口を決めておくことが欠かせません。
さらに、非効率な手順をそのままロボットに置き換えると、非効率さが固定化されます。自動化の前に「この作業自体が本当に必要か」を問い直すことが、効果を大きくする近道です。止まる原因と対策はRPAが止まる・使われなくなる原因も参考になります。
関連用語
- iPaaS:クラウドサービス同士をAPIでつなぐ連携基盤。RPAと使い分ける対象
- 野良RPA(野良ロボット):管理されずに放置されたロボット
- 業務の可視化:自動化対象を見極める前段の作業
- ECRS(改善の4原則):自動化の前に手順を見直す考え方
- Power Automate:RPA機能も持つMicrosoftの自動化サービス
Otsumuに相談できること
「RPAで自動化すべきか、API連携やシステム改修で根本から直すべきか」は、対象業務と既存システムの状況で答えが変わります。Otsumuの自社サービス運用の自動化コンサルティングでは、業務の棚卸しから自動化手段の選定、止まらない運用ルールづくりまでを一緒に進めます。
まずは対象にしたい業務と使っているシステムを伺い、どの手段が合いそうかを整理するところから始められます。30分の無料相談でお気軽にご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01