定性調査とは
定性調査とは、人の行動や判断の背景、意味、文脈を、言葉や観察を通じて理解する調査です。インタビュー、行動観察、日記調査などが代表的で、数値では表しにくい「なぜ」を探るために使います。
対になる言葉が定量調査で、こちらは数値で量や割合を測ります。定性は「性質」を扱う意味で、質的調査とも呼ばれます。新規事業の初期は、何が課題かもまだ分からないため、定性調査が中心になることが多くなります。
定性調査の特徴と進め方
定性調査の特徴を、定量調査と比べて整理します。
| 観点 | 定性調査 | 定量調査 |
|---|---|---|
| 得られるもの | 理由、背景、文脈 | 量、割合、差 |
| 対象の人数 | 少数を深く | 多数を浅く |
| 向く場面 | 課題の発見、仮説づくり | 仮説の確認、規模の把握 |
| 結果の扱い | 解釈と整理が必要 | 集計と統計的な判断 |
進め方は、問いを決める、対象者を選ぶ、実施する、記録を整理して共通点と相違点を見つける、という流れです。分析では、発言や行動を付箋などに分け、似たものをまとめてパターンを見つける方法がよく使われます。
質の高い調査には、対象者の条件の設計が欠かせません。誰に聞くかで、見える世界が変わるためです。調査の目的に合う人を意図的に選び、選んだ理由を記録します。
実務での使い方・具体例
架空の例として、在宅で学ぶ社会人向けの学習支援サービスを検討するチームが、定性調査から始めます。学習を続けられた人と途中でやめた人の両方に、最近の学習の一日を振り返って話してもらいます。すると、時間が取れない人より、学習内容と仕事の関係が見えなくなった人のほうが離脱しやすい、といった仮説が浮かびます。
この仮説は、まだ数人の話から得た見立てです。そこで次の段階として、より多くの人に向けた質問票で、同じ傾向があるかを確かめます。定性で見つけ、定量で確かめるという往復が基本です。
また、定性調査の結果は、顧客への提案や機能の方向づけの材料にも使えます。実際の発言を引用しながら共有すると、チームが顧客の状況を具体的に想像しやすくなります。
調査の結果は、発見した内容を「気づき」「仮説」「次に確かめること」の三つに分けて残すと、定量調査や試作の検証への橋渡しがしやすくなります。
よくある誤解と注意点
最も多い誤解は、数人の発言を「顧客の多くはこう考えている」と言い換えてしまうことです。定性調査の人数は、割合を示すためのものではありません。結果に「何人中何人」と書くと、統計的な根拠があるように見えてしまうため注意が必要です。
次に、調査者の解釈が入り込みやすい点があります。聞き手が期待する答えに誘導していないか、都合のよい発言ばかり拾っていないかを点検します。複数人で記録を読み合うと偏りに気づきやすくなります。
さらに、発言と実際の行動が食い違うことがあります。可能なら観察を併用し、言葉だけに頼らない設計にします。調査の限界を理解したうえで、次の定量調査や実験につなげる姿勢が大切です。
調査の人数を決める目安として、新しい発見がほとんど出なくなった時点を区切りとする考え方があります。ただし、対象の層が複数あるときは、層ごとに同じ確認が必要です。
関連用語
- 定量調査:定性調査で得た仮説を、数で確かめる調査です。
- デプスインタビュー:一対一の対話で経験を深く掘り下げる、定性調査の代表的な方法です。
- 行動観察:言葉と行動のずれを見つける、観察による調査です。
- 回答バイアス:回答が実態から偏る要因を点検するための視点です。
Otsumuに相談できること
定性調査は、誰に何を聞き、どう解釈するかで価値が変わります。Otsumuでは、事業の段階に合わせた調査の設計や、結果から次の検証を決める整理を支援しています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04