アンバンドリングとは
アンバンドリングとは、これまでひとまとまり(バンドル)で提供されていた商品やサービスを、機能や要素ごとに切り離し、それぞれを単独で提供することです。
身近な例でいえば、新聞にまとめて載っていた求人、不動産、中古品売買などの情報が、それぞれ専門のウェブサービスに分かれていった流れがアンバンドリングにあたります。銀行が一つの窓口で提供していた送金、融資、資産運用といった機能が、それぞれの分野に特化したサービスに分かれていく動きも同じです。
英語の unbundle(束をほどく)から来た言葉です。逆に、ばらばらだった機能を再びまとめて提供することを「リバンドリング(rebundling)」と呼びます。
仕組み・ポイント
アンバンドリングが起きる背景には、まとめて提供することの利点が薄れ、個別に提供することの利点が大きくなる変化があります。
| 観点 | まとめて提供(バンドル) | 切り離して提供(アンバンドル) |
|---|---|---|
| 利用者の負担 | 一つの窓口で済む | 必要なものだけ選べる |
| 価格 | 使わない機能の分も払う | 使う分だけ払える |
| 機能の深さ | 一つひとつは浅くなりがち | 特定の用途に深く作り込める |
| 提供者の強み | 顧客との接点、規模 | 専門性、使いやすさ |
ITやインターネットの普及によって、機能を切り出して小さく提供するコストが下がりました。その結果、大きなサービスの中の一機能に不満を持つ利用者に向けて、その機能だけに特化したサービスを作る、という事業機会が生まれています。
一方で、個別のサービスが増えすぎると、利用者は複数のサービスを使い分ける手間に悩まされます。そこで、関連する機能をまとめ直して一つのサービスとして提供するリバンドリングが起こります。アンバンドリングとリバンドリングは、繰り返し起こる流れとして捉えられます。
実務での使い方・具体例
新規事業のアイデアを探すときに、アンバンドリングの視点が役立ちます。次のような手順で考えます。
- 業界で広く使われている大きなサービスや、総合的な製品を挙げる
- その中の機能や要素を分解して書き出す
- 機能ごとに、使っている利用者の不満や、満たされていない要望を調べる
- 特定の利用者層にとって、一機能だけを深く作り込めば価値が大きいものを探す
- その機能だけを切り出したサービスを、小さく作って検証する
架空の例として、多機能な販売管理システムを使っている小売店を考えます。システムには在庫、受発注、顧客管理、売上分析などの機能がありますが、店舗のスタッフが不満を持っているのは、店頭での在庫確認の使いにくさだったとします。この場合、「スマートフォンで在庫を素早く確認できる」機能だけに特化したサービスが事業機会になりえます。既存システムとデータを連携させれば、置き換えではなく補完として導入してもらえるかもしれません。
逆に、リバンドリングの視点も使えます。小規模事業者が、予約、決済、顧客管理、メール配信を別々のサービスで使い分けて手間に感じている場合、それらをまとめて一つで済むサービスに価値が生まれます。
自社の事業を見直すときにも役立ちます。自社がまとめて提供しているサービスのうち、競合に切り出されやすい機能はどれか、逆に切り出して単独で提供すれば新たな顧客に届く機能はどれか、という問いで検討できます。
よくある誤解と注意点
- 切り出せば売れる、わけではない:切り出した機能が、単独でお金を払う価値を持つかを検証する必要があります。
- 既存サービスとの連携を軽く見る:利用者は既存のサービスも使い続けることが多いため、データの連携が導入の決め手になります。
- 大手が同じ機能を強化するリスク:切り出した機能を、元の大きなサービスが改善してくることがあります。特定の利用者層への深い適合で差をつけます。
- 市場が小さくなりすぎる:切り出しすぎると、対象の利用者が少なくなり、事業として成り立たないことがあります。
- リバンドリングの流れを見落とす:個別のサービスが乱立している領域では、まとめて提供するサービスに価値が移ることもあります。
関連用語
- バーティカルSaaS:特定業界に特化したSaaS。汎用サービスから業界向けに切り出す発想と関係が深い
- ホリゾンタルSaaS:特定機能を業界横断で提供するSaaS。アンバンドリングから生まれることが多い
- APIエコノミー:機能をAPIで切り出し、組み合わせて使う考え方
- 垂直統合・水平分業:事業の範囲をまとめるか分けるかという、関連する考え方
実践記事:隣接市場への展開、不満から新規事業を見つける
Otsumuに相談できること
アンバンドリングの視点で見つけたアイデアは、切り出した機能が単独で選ばれるかどうかの検証が欠かせません。アイデアの評価や顧客への検証は新規事業開発コンサルティングで、既存サービスと連携する小さなプロダクトの開発は新規事業の爆速MVPシステム開発でご一緒できます。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01