この事例の要点
- The Beauty Health Companyは、Hydrafacialを中核に、機器(Delivery System)と専用の消耗品を組み合わせて施術提供者に提供する米国の企業です(Form 10-K、FY2025)。
- 2025年12月期の純売上は300.8百万ドルで、うち消耗品が212.7百万ドル(70.7%)、機器が88.1百万ドル(29.3%)でした(Form 10-K、FY2025)。
- 機器の売上が29.8%減る一方で消耗品は1.8%増え、粗利率は54.5%から65.3%へ上がっています。設置済みの機器の稼働が収益を支える構造がわかります(Form 10-K、FY2025)。
どんな事業か
The Beauty Health Companyは、米国デラウェア州法人で、本社はカリフォルニア州ロングビーチです。Nasdaq Capital Marketに上場しています。同社は自社を、施術提供者(プロバイダー)の成功を支える「medical aesthetics company」と説明しています。中心はHydrafacialで、特許取得済みのDelivery Systemを使い、洗浄、角質除去、保湿を専用の溶液やセラムで行う施術です(Form 10-K、FY2025)。
このほか、マイクロニードリングのSkinStylusや、頭皮向けのHydraScalp powered by Keravive も展開しています。現行世代の機器「Syndeo」はWi-FiとRFIDを備え、同社と提供者が消費者の利用データを集められる設計になっています(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
収益は、機器の販売・設置と、その後に繰り返し使われる消耗品の2層です。消耗品には、セラム、溶液、チップなどが含まれます。同社は、消費者の需要が提供者の店舗への来客を生み、来客が機器1台あたりの施術回数を増やし、施術回数が消耗品の需要を押し上げる、という循環を事業モデルとして示しています(Form 10-K、FY2025)。
- 入り口:美容クリニックなどの提供者に機器を販売・設置する。
- 課金:機器本体の売上と、施術のたびに使われる消耗品の売上。
- 継続:設置済みの機器が稼働するほど、消耗品が繰り返し買われる。
同社は、設置済みの台数の多さと、稼働率が上がると営業レバレッジが働く消耗品中心の収益モデルを、強みとして挙げています(Form 10-K、FY2025)。
数字で確かめる
- 純売上:300,790千ドル(2024年は334,294千ドル、2023年は397,991千ドル)。2年連続で減少していることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
- 機器の純売上:88.1百万ドル(前期比29.8%減)。マクロ経済と信用環境の悪化が影響したと説明されており、新規設置が景気に左右されることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
- 消耗品の純売上:212.7百万ドル(前期比1.8%増)。機器の設置増と価格改定が寄与し、中国の販売パートナーへの移行が減少要因とされており、機器が減っても消耗品は崩れにくいことが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
- 粗利率:65.3%(前期54.5%)。売上原価が152.0百万ドルから104.4百万ドルに減り、棚卸資産関連費用が下がったことが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
- 営業損失:20.8百万ドル(前期67.8百万ドル)、純損失:9.5百万ドル(前期29.1百万ドル)。費用の圧縮で損失幅が縮小したことが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「レイザー&ブレード」の型として読めます。機器で入り口をつくり、施術ごとに使う消耗品で収益を積み上げる設計で、消耗品の比率が70.7%に達している点にその特徴が出ています。機器が29.8%減っても全体の減収が10.0%にとどまっているのは、消耗品が土台になっているからだと考えられます。
一方で、この型には弱点も読み取れます。消耗品の伸びは設置台数と稼働率に依存しますが、新規の機器販売は提供者の資金繰りと信用環境に左右されます。同社が戦略として稼働率の引き上げを挙げているのは、台数を増やすより、すでに置いた機器を使ってもらう方が利益に直結するためだと考えられます。提供者が儲かる状態をつくることが、同社の消耗品売上の前提になっている構造です。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の商品やサービスの中に、入り口(機器・初期契約)と、使うたびに発生する収益の層を分けて考えられるものはありますか。
- 導入済みの顧客のうち、実際に使っている顧客と使っていない顧客はどれくらいですか。
- 顧客自身が儲かる状態になっているかを、自社の収益と並べて確認していますか。
小さく試すなら
- 過去1年の契約・導入顧客を一覧にし、導入後の利用頻度(購入、問い合わせ、ログイン等)を顧客ごとに記録します。
- 利用が少ない顧客を5〜10社選び、利用を妨げている原因をヒアリングします。
- 2〜4週間、導入後の使い方のガイドや相談枠を1つ用意して案内し、利用頻度の変化を記録します。
- 効果が出れば、導入時の標準メニューに組み込み、導入件数と利用継続の両方を月次で追います。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:The Beauty Health Company / Hydrafacial。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25