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Bright Horizons「職場の保育・バックアップケア」に学ぶ福利厚生型の事業設計

従業員の保育と緊急時の預け先を、雇用主との複数年契約で提供するBright Horizonsの事例です。保育所運営とバックアップケアを組み合わせた収益構造を、Form 10-K(2025年12月期)から確かめます。

分類:企業事例 › 教育・人材・BtoB

この事例の要点

  • Bright Horizons Family Solutions Inc.は、保育・早期教育、バックアップケア、教育アドバイザリーの3事業を、主に雇用主との複数年契約のもとで提供しています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年の売上高は2,933,607千ドル(前年比9.2%増)で、全日制の保育所事業が71.0%、バックアップケアが24.8%を占めます(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 成長率が高いのはバックアップケアで、売上は727,988千ドル(前年比19.3%増)でした。保育所という固定的な事業の周りに、利用に応じて課金できる事業を重ねた設計と読めます(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Bright Horizons Family Solutions Inc.は、米国マサチューセッツ州ニュートンに本社を置き、ニューヨーク証券取引所(BFAM)に上場しています。同社は自らを、質の高い早期教育・保育、バックアップケア、教育アドバイザリーを提供する事業者と説明しています。顧客は働く家庭と、その従業員の採用・定着を支えたい雇用主の双方です(Form 10-K、2025年12月期)。

2025年12月31日時点で、1,450社超の雇用主にサービスを提供し、そのうち220社超がFortune 500企業でした。米国、英国、オランダ、オーストラリア、インドで1,010か所の保育所を運営し、約115,000人の子どもを受け入れられる定員があります(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

同社は、保育・教育を雇用主の福利厚生の一部として提供する契約を主軸にしています。利用する家庭と、費用を負担する雇用主という、二つの支払い主体が存在する構造です。

  • 入り口:雇用主が自社の福利厚生に採用します。雇用主の拠点またはその近くに保育所を設ける、単独企業または複数企業による長期契約がもともとの中核です。
  • 課金(保育所):全日制保育の売上は、保育料(Tuition)が1,895,740千ドル、運営管理料・運営補助金が185,379千ドルです。保育料が91.1%を占めます。
  • 課金(バックアップケア):雇用主が支払う料金が中心で、利用者の自己負担は一部です。契約期間は一般に3年で、購入した利用回数に基づく固定型と、利用ごとの従量型があります。
  • 継続:複数年契約に加え、保育料は平均で約4〜5%引き上げられました。

数字で確かめる

  • 売上高は2,933,607千ドルで、前年の2,686,013千ドルから9.2%増えました(Form 10-K、2025年12月期)。事業全体が拡大していることが読み取れます。
  • 保育料収入は114,779千ドル(6.4%)増え、要因は平均保育料の約4〜5%の引き上げと、入所者数の1%の純増でした(Form 10-K、2025年12月期)。成長の多くが単価の改定によることが読み取れます。
  • バックアップケアの売上は610,112千ドルから727,988千ドルへ、19.3%増えました(Form 10-K、2025年12月期)。売上構成比が22.7%から24.8%に上がり、保育所以外の柱が育っていることが読み取れます。
  • 営業利益は314,665千ドル(売上比10.7%)、当期純利益は193,116千ドルで、前年は営業利益246,619千ドル、純利益140,191千ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。増収が利益の増加にもつながったことが読み取れます。
  • 教育アドバイザリーは124,500千ドル(9.1%増)で、売上の4.2%でした(Form 10-K、2025年12月期)。従業員向けの教育支援が、小さいながら第三の事業として開示されていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例の特徴は、利用する人と費用を負担する人が別にいる点だと考えられます。家庭にとっては保育サービスですが、雇用主にとっては採用・定着のための投資です。同社が公表している社内調査(約90%の保護者が、同社の保育により仕事の責任を果たせ、勤務先への意欲が高まったと回答)は、雇用主に向けた価値の説明材料になっていると読めます。

保育所は施設と人件費が先に必要な事業で、満たすほど安定します。そこに、使った分だけ請求するバックアップケアを重ねると、固定的な収益と、利用に連動する収益が組み合わさります。バックアップケアの原価には提携先への支払いが含まれると記載されており(Form 10-K、2025年12月期)、自前の施設だけに頼らない分、施設運営より身軽な拡張手段になっていると考えられます。

一方で、単価改定が成長の主因になっていることは、価格を上げ続けられる限界とも隣り合わせです。雇用主の福利厚生予算や景気の動向が需要を左右する可能性も、考慮が必要です。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社のサービスで、使う人と費用を払う人は同じでしょうか。別にできる場合、払う側にとっての価値は何でしょうか。
  • 固定的に提供しているサービスの周りに、使った分だけ課金できる軽い選択肢を置けないでしょうか。
  • 値上げで成長している部分と、利用量の増加で成長している部分を、分けて把握できているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 既存顧客の上位数社に、サービスの費用を誰が決裁しているか、その人は何の成果を求めているかを聞きます。
  2. 利用者本人の便益と、費用負担者の便益を、それぞれ一文で書き分けます。
  3. 固定契約に加える従量型の選択肢(例:スポット利用の追加メニュー)の案を作り、2〜3社に提示して反応を確かめます。
  4. 2〜4週間の聞き取りで、費用負担者が語った成果指標を、提案書の冒頭に置く形に改めて、次の商談で使います。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Bright Horizons Family Solutions Inc.(米国、NYSE:BFAM)の保育・バックアップケア事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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