この事例の要点
- Check Pointの収益は、製品・ライセンス、セキュリティ・サブスクリプション、ソフトウェア更新・保守の三つに分かれ、2025年は構成比が20%、45%、35%です(Form 20-F、2025年12月期)。
- 2025年の総売上は2,725.4百万ドルで、うちセキュリティ・サブスクリプションは1,219.0百万ドルと前年の1,104.2百万ドルから約10%増えました(Form 20-F、2025年12月期)。
- 営業活動によるキャッシュ・フローは1,199.4百万ドルで、繰延収益(先に請求して後から収益にする残高)の増加176.2百万ドルが、その一部を支えています(Form 20-F、2025年12月期)。
どんな事業か
Check Point Software Technologies Ltd.はイスラエルのテルアビブに本社を置き、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場する企業です。ネットワーク、ワークスペース(メールや端末)、エクスポージャー管理、AIセキュリティを組み合わせた統合的なセキュリティ構成を、顧客のAI活用の安全確保という文脈で位置づけています(Form 20-F、2025年12月期)。
同社は、製品・ライセンスの販売に加えて、セキュリティ・サブスクリプションとソフトウェア更新・保守の契約を提供しています。後者の二つは先に請求し、契約期間にわたって収益を計上する繰延収益の形をとります。製品の販売が、継続的な契約収益の入り口になっていると読める構成です(Form 20-F、2025年12月期)。
収益の仕組み
同社は、収益を三つのカテゴリーで開示しています(Form 20-F、2025年12月期)。
- 入り口:製品とライセンスの販売です。2025年は548.2百万ドルで、総売上の約20%です。
- 課金:セキュリティ・サブスクリプションです。機能を継続的に提供する契約で、2025年は1,219.0百万ドルです。繰延収益として先に請求し、契約期間にわたって均等に収益を計上します。
- 継続:ソフトウェア更新と保守です。更新契約の積み上がりで、2025年は958.2百万ドルでした。
販売は主に二層の流通モデルで、ディストリビューターがリセラー、サービスプロバイダー、マネージドセキュリティサービス事業者に売り、そこから最終顧客に届きます。同社は2024年にデマンドジェネレーションのチームをつくり、見込み客の掘り起こしにも投資しています(Form 20-F、2025年12月期)。
数字で確かめる
- 総売上:2025年は2,725.4百万ドル、2024年は2,565.0百万ドル、2023年は2,414.7百万ドルで、3年連続で増えています。売上が着実に積み上がっていることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
- セキュリティ・サブスクリプション:2023年の981.2百万ドルから、2024年の1,104.2百万ドル、2025年の1,219.0百万ドルへ伸びました。同社は2025年の増加要因を、ハイブリッドメッシュ、ワークスペース、CTEMの三つの柱にわたる拡大と説明しており、継続収益の中心が成長していることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
- 更新・保守:936.1百万ドルから952.9百万ドル、958.2百万ドルへ、ほぼ横ばいで推移しています。更新が安定した基盤になっていることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
- 営業利益と純利益:営業利益は2025年が831.1百万ドル、2024年が876.0百万ドルで減少しました。純利益は税の利益の計上もあり、1,056.9百万ドルと845.7百万ドルです。営業費用の伸びが営業利益に影響していることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー:2025年は1,199.4百万ドル、2024年は1,052.4百万ドルです。会計上の利益に加え、先に受け取る契約が現金を生んでいることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例の特徴は、売り切りの製品を「入り口」にして、その後の更新・購読を重ねる階層構造です。製品が売れた時点で終わらず、更新・保守とサブスクリプションの契約が続くため、一度の販売が数年分の収益につながります。構成比を見ると、製品・ライセンスは売上の約2割にとどまり、残りの約8割が継続的な契約から来ています。
また、サブスクリプションは新しい機能領域を広げるたびに契約を積み増せる受け皿になっています。更新・保守がほぼ横ばいである一方、サブスクリプションが年間10%程度伸びているのは、顧客の契約の中心が、保守から機能を伴う購読へ移っている可能性を示しています。
一方で、営業費用は増えており、営業利益は前年より減りました。継続収益が大きくても、営業の人員や研究開発に投資し続けなければ維持できない構造だと読めます。この型を小規模に応用するなら、更新の仕組みを作るだけでなく、更新を続けてもらうための継続的な価値提供の費用も見込む必要があります。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の売り切りの商品に、販売後も続く更新や購読を重ねられますか。
- 更新を続けてもらうために、毎年どんな価値を新しく提供できていますか。
- 販売を担うパートナーに、見込み客を渡す仕組みはありますか。
小さく試すなら
- 過去1年の売り切りの商品について、販売後1年間に顧客から来た問い合わせや追加依頼を10件ほど集計します。
- 問い合わせの中から、継続提供できる内容(点検、更新情報、相談窓口など)を一つ選び、月額または年額の購読として設計します。
- 既存顧客5〜10社に、2〜4週間の試行として案内し、申込数と利用の頻度を記録します。
- 申込があった内容について、翌年も続けてもらうために必要な提供内容と、1社あたりの費用を見積もります。
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資料の位置づけ
企業・サービス:Check Point Software Technologies Ltd. / セキュリティ製品とセキュリティ・サブスクリプション。参照資料:Form 20-F(2025年12月31日終了会計年度)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25