この事例の要点
- 株式会社船井総研ホールディングスは、当社及び連結子会社(孫会社)11社で構成され、経営コンサルティング事業を主な事業とし、ロジスティクス事業とデジタルソリューション事業を展開しています。2025年12月期の売上高は33,330百万円(前期比8.8%増)、営業利益は8,813百万円(同5.9%増)で、過去最高の業績と説明しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 経営コンサルティング事業の売上高は24,471百万円(前期比9.4%増)、営業利益は8,369百万円(同11.5%増)で、主力である月次支援の契約単価の上昇と経営研究会会費の値上げが増収に寄与したと説明しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- ストックビジネスの中核となる経営研究会の会員数は増加を続け、過去最高を更新したと記載されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
経営コンサルティング事業では、経営コンサルティング業務を中心に総合コンサルティングを遂行する体制と組織を有し、企業経営に関わるコンサルティング業務のほかに、業種・テーマ別の経営研究会・セミナー等を実施しています。業種別では、主力である住宅不動産業界向けと医療介護福祉業界向けのコンサルティング部門が順調に売上高を伸ばしたと記載されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
ロジスティクス事業では、業績向上や物流コスト削減を目的とした物流コンサルティング業務と、物流業務の設計・構築・運用を実行する物流BPO業務を行っています。デジタルソリューション事業では、WEB広告運用代行をはじめとするSPX業務、クラウドソリューション業務、AI採用クラウドサービスを中心としたHRソリューション業務を実施しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
経営コンサルティング事業の収益は、主力である月次支援と、経営研究会の会費が柱です。当期は月次支援の契約単価が上昇し、経営研究会会費の値上げの効果もあって増収となったと説明しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用面では、2025年12月期の売上原価は20,282百万円(前期は18,783百万円)、販売費及び一般管理費は4,234百万円(同3,537百万円)でした。経営コンサルティング事業では「人的資本強化のため積極的に人財投資を行いつつコストコントロールを行い、増益を確保」したと説明し、デジタルソリューション事業では人件費を中心とした営業費用が増加して減益となったと記載されています。売上原価の内訳は今回参照した公開資料には示されていません(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高33,330百万円(前期比8.8%増)、営業利益8,813百万円(同5.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,526百万円(同8.9%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収率より営業増益率が低く、費用が売上より速く増えたことが読み取れます。
- 売上高営業利益率26.4%、前期は27.2%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。人財投資を進めながらも高い利益率を維持していることが読み取れます。
- 経営コンサルティング事業の営業利益8,369百万円(前期比11.5%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。全社の営業利益8,813百万円のほとんどをこの事業が生み出していることが読み取れます。
- ロジスティクス事業は売上高4,354百万円、営業利益609百万円(前期比22.8%増)。デジタルソリューション事業は売上高4,504百万円(同13.7%増)、営業損失96百万円(前期は営業利益159百万円)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。コンサルティング比率の高い事業ほど利益が出やすいことが読み取れます。
- 自己資本比率72.4%、営業活動によるキャッシュ・フロー7,903百万円(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。大きな設備を持たずに現金を生み出す事業であることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。コンサルティングは人の時間を売る事業であり、売上は人数と単価の掛け算に縛られます。同社の開示で特徴的なのは、収益の柱が「月次支援」という顧問・リテイナー型の契約と、「経営研究会」という会費型のストック収益で構成されている点です。単発のプロジェクト受注ではなく、毎月の支援契約と会費が積み上がる構造であれば、翌月の売上の見通しが立ち、コンサルタントの稼働計画も立てやすくなると考えられます。
この構造を支える裏側の仕事は、業種別に深く専門化することだと読めます。業界別の部門と業種・テーマ別の経営研究会を運営することで、同じ業界の経営者が集まる場ができ、そこから月次支援の契約につながる導線が成り立つと考えられます。トレードオフは人への依存です。契約単価を上げ続けるには単価に見合う人材を育て続ける必要があり、デジタルソリューション事業が人件費の増加で営業損失となった事実は、実行業務(広告運用、受託開発)では同じ単価構造が成り立ちにくいことを示していると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の売上のうち、毎月自動的に見込める「月次契約」「会費」に相当する部分はどれくらいあるか。
- 顧客同士が集まる場(研究会や勉強会)を自社が主催した場合、そこから継続契約につながる導線を描けるか。
- 実行を請け負う業務(代行、受託)の利益率を、コンサルティング部分と分けて把握できているか。
小さく試すなら
- 既存顧客のうち関係の深い1業種を選び、月1回の経営者向け勉強会を3回開く。参加者が継続参加するか、次回の相談依頼が出るかを記録します。
- 勉強会参加者に、月額固定の「月次支援」プランを1本だけ提示し、契約に至った件数と断られた理由を集める。単価と内容の受け止めが分かれば次へ進みます。
- 月次支援の支援記録を業種ごとにテンプレート化し、2人目の担当者が同じ品質で提供できるかを試す。会費、契約額、稼働時間を1枚の表にまとめ、ストック収益の割合と1人あたり売上の目安を決めます。
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資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社船井総研ホールディングス / 中小企業向け経営コンサルティング。参照資料:2025年12月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27