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GoDaddyのドメイン・ホスティングに学ぶ事業設計:顧客維持率85%を支えるバンドル

GoDaddy Inc.は、20.4 millionの顧客にドメイン、ウェブサイト構築、コマースの各ツールを一括で提供し、FY2025の売上高は$4,951.1 millionでした。約85%の顧客維持率と、製品を束ねて単価を上げる仕組みを一次資料で読みます。

この事例の要点

  • GoDaddy Inc.は、小規模事業者、個人、開発者、デザイナー、ドメイン投資家を対象に、ドメイン、ウェブサイト構築、コマースの各ソリューションをワンストップで提供する企業で、顧客数は20.4 millionです。FY2025(2025年12月期)の売上高(Total revenue)は$4,951.1 millionで前年比8.3%増、営業利益は$1,127.3 millionで26.2%増でした(Form 10-K、FY2025)。
  • 事業はApplications and Commerce(A&C)とCore Platform(Core)の2セグメントで、FY2025の売上はA&Cが$1,889.0 million(38.2%)、Coreが$3,062.1 million(61.8%)です(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年12月期までの5年間、顧客維持率は約85%(2024年のみ約84%)で推移し、3年以上の顧客では約90%です(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は顧客の事業の歩みを「Entrepreneur's Wheel」と呼び、Identity(社名、ドメイン名、ロゴ、メールアドレス)、Presence(ウェブサイト構築・ホスティング、SNS、検索エンジンでの可視性、セキュリティ)、Commerce(GoDaddy Payments、POS、GoDaddy Capitalなど)の3領域でソリューションを提供していると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

顧客層は4つに分けられています。最大の層であるIndependentsは主にマイクロビジネスで、その多くは従業員5人未満で、技術やデザインのスキルがほとんどないと自認していると説明されています。WebProsは事業者の代わりにウェブサイトを作る設計者・開発者で、同社は顧客管理アプリや再販割引を提供しています。ほかに転売目的でドメインを保有するDomain Investors、レジストラ、企業のドメインポートフォリオ所有者にもサービスを提供しています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

売上は製品の販売から生じます。A&Cセグメントは自社ソフトウェアを含む製品(ウェブサイト構築製品、自社コマースソリューション、バンドルに含まれる製品など)で構成され、Coreセグメントはドメイン登録・更新、アフターマーケットのドメイン販売、ドメイン保護、ウェブホスティング、ウェブセキュリティなどで構成されます。A&Cの売上比率はFY2023からFY2025にかけて約34%、36%、38%と高まっています(Form 10-K、FY2025)。

価格設定とバンドルの施策は、顧客の意思決定を簡素化しプラットフォーム全体への関与を深める「tailored bundles」を提供するもので、より多くの製品を持つ顧客は維持率が高く、生涯価値が大きいことを長年のデータで把握していると説明しています。費用面では、FY2025の売上原価(償却費を除く)は$1,801.5 million(売上比36.4%)、技術開発費$841.5 million(17.0%)、マーケティング・広告費$375.1 million(7.6%)でした(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 売上高$4,951.1 million(前年比8.3%増)、営業利益$1,127.3 million(26.2%増)、純利益$875.0 million(6.6%減)(Form 10-K、FY2025)。前年の純利益には$267.4 millionの非経常的・非現金の税務上の利益が含まれていたと注記されており、営業段階では利益が伸びていることが読み取れます。
  • 年換算継続収益(ARR)$4,336.2 million、受注額(Total bookings)$5,400.0 million(Form 10-K、FY2025)。継続的な収益の規模が大きいことが読み取れます。
  • ARPUは$242で、FY2024の$220、FY2023の$203から上昇。顧客数は20,422 thousandで前年の20,511 thousandからほぼ横ばい(Form 10-K、FY2025)。1顧客あたりの売上を高める形で成長していることが読み取れます。
  • 2017年に獲得した約5.0 millionの顧客コホートは、$253.2 millionのマーケティング費用で獲得され、2025年末までに約$3.0 billionの受注額を生み、7年間の平均年間売上維持率は91%超(Form 10-K、FY2025)。獲得費用に対して長期間にわたり収益が続くことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業の土台は、ドメインという「一度取得すると手放しにくい資産」を年単位で更新するサブスクリプションにあると読めます。約85%の維持率と、3年以上の顧客で約90%という数字は、時間が経つほど離れにくくなる性質を示していると読めます。

その上に成り立つのがバンドルとクロスセルです。顧客数はほぼ横ばいであるのにARPUは$203から$242へ上がっており、成長の中身は「同じ顧客がより多くの製品を持つ」ことにあると読めます。A&Cの売上比率が34%から38%へ高まった事実も、ドメインの顧客にウェブサイト構築やコマースを追加販売する流れが機能していることを示していると考えられます。トレードオフは、製品を増やすほど品質維持とサポートの負担が増えることで、技術開発費が売上の17.0%を占める点は幅広い製品を自社で持ち続けるコストを示していると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客が「手放しにくい」と感じる最初の製品やサービスは何か。それは年単位の更新になっているか。
  • 最初の製品を買った顧客が、次に必要とするものを自社で用意できているか。その導線は誰が案内しているか。
  • 成長を「顧客数」と「1顧客あたりの売上」に分けたとき、自社はどちらで伸びているか。

小さく試すなら

  1. 既存顧客を保有製品数(1つ、2つ、3つ以上)で分け、それぞれの継続率を直近1年分で比べる。製品数が多いほど継続率が高いかが分かれば次へ進みます。
  2. 入口となる製品を買った直後の顧客に、関連製品を1つだけ組み合わせた「束ね売り」の価格を提示し、2〜4週間で提示数と購入率を記録する。
  3. 束ねた顧客と単品の顧客で、3か月後の解約と追加購入の差を確認する。差が出れば、獲得費用の上限を「何年で回収するか」で決めます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:GoDaddy Inc. / ドメイン・ホスティングとアプリケーション・コマース。参照資料:Form 10-K(FY2025、期末2025年12月31日)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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