この事例の要点
- 同社グループの売上高は69,387百万円(前期比9.7%増)、営業利益は11,392百万円(同12.1%増)で、そのほとんどをカラオケセグメントが占めています(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 当期も50店舗を開設し、カラオケの国内店舗数は703店舗、海外は4か国25店舗になりました(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 一方で連続赤字の店舗・施設などについて減損損失33億89百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,258百万円(同21.9%減)でした(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
同社は主力のカラオケセグメントで「カラオケまねきねこ」を展開し、当期も積極的出店を継続して50店舗を開設したと説明しています。国内店舗数は前連結会計年度末比39店舗増の703店舗、海外は韓国、マレーシア、タイ、インドネシアの4か国25店舗です。新たにアメリカ、フィリピンへの進出も決め、アメリカでは物件の選定、フィリピンでは新法人の設立を行いました(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
同社は中期経営ビジョン「エンタメをインフラに」(EIP)を掲げ、全国にPER(Private Entertainment Room)を届けることを目指しています。カラオケ以外のエンターテインメントの提供やコンテンツコラボを進め、エンタメボックス「E-bo」を首都圏店舗に導入し、「本人音源」楽曲も一部導入しました。次期は「E-bo」の全店導入を行う予定です(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
セグメントはカラオケ、不動産管理、その他の3つです。不動産管理では「アクエル前橋」「MANEKI新橋ビル」などの物件を管理し、その他には飲食店舗5店舗などが含まれます。当期のセグメント売上高はカラオケが671億62百万円、不動産管理が18億57百万円、その他が8億79百万円でした(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
収益の中心は、カラオケ店舗を利用する来店客からの売上です。同社は「店舗毎に市場状況に応じたきめ細かなプライシングに努め、既存店客数の増勢を持続させることができました」と説明しており、出店による店舗数の増加と既存店の客数、価格設定が売上を左右する構造と読めます。これに不動産管理の物件収入と飲食店舗などの収益が加わります(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用の内訳は今回参照した公開資料には示されていません。ただしキャッシュ・フローの説明には減価償却費46億65百万円、有形固定資産の取得による支出63億4百万円、敷金及び保証金の差入による支出7億29百万円が挙げられています。また給与水準の引き上げを含む人事制度の刷新(Koshidaka Workstyle Innovation Plan)を行い、社員の平均年収を大幅に引き上げたと説明しています(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高:69,387百万円(前期比9.7%増)、営業利益:11,392百万円(同12.1%増)(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。増収率を上回る増益率で、出店を続けながら利益も伸ばしていることが読み取れます。
- カラオケセグメント:売上高671億62百万円(前連結会計年度比9.7%増)、セグメント利益124億5百万円(同7.9%増)(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。グループの収益のほとんどを一つの業態が担っていることが読み取れます。
- 売上高営業利益率:16.4%(2025年8月期)(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。施設を持つ事業としての収益性の水準が読み取れます。
- 減損損失:33億89百万円(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。出店を重ねる中で、不採算店舗の資産を処理する負担も生じていることが読み取れます。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー:127億74百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー:△8,292百万円(2025年8月期決算短信〔日本基準〕(連結))。稼いだ現金の多くを出店などの投資に回していることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「施設運営・興行」の型で読むことができます。部屋という限られた設備に時間単位で人を呼び込む事業では、立地と稼働率、そして価格設定が収益を決めると考えられます。同社が高稼働の期待できる首都圏駅前・繁華街への出店を続け、店舗ごとにきめ細かくプライシングしていると説明していることは、この型の要点をそのまま押さえていると読めます。
もう一つの特徴は、部屋の用途を広げようとしている点です。「E-bo」の導入やコンテンツコラボによって、カラオケルームを歌う場所からPERへと位置づけ直すことは、同じ設備で来店理由を増やし、稼働の低い時間帯を埋める試みと考えられます。裏側では、出店候補地の選定、内装や機器への投資、人財の採用と育成、新POSシステムなどによる生産性の向上といった仕事が欠かせません。
トレードオフは、店舗数を増やすほど固定資産と出店リスクも増えることです。当期に連続赤字店舗などで減損損失33億89百万円を計上したことは、積極出店と資産の健全性の両立が常に問われる構造を示していると読めます。次期には「JOYSOUND」ブランドのカラオケ店舗等約70店舗の事業承継も予定されており、自社出店と承継をどう組み合わせるかも論点になると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の施設や設備は、どの時間帯・どの曜日に稼働が落ちており、それを埋める別の用途を用意できるでしょうか。
- 価格を全拠点一律で決めていないでしょうか。立地や競合状況に応じて変える余地はありますか。
- 拠点を増やす判断と、成果の出ない拠点を閉じる判断の基準を、事前に数字で決めていますか。
- 設備の用途を広げるとき、既存の顧客体験を損なわずに追加できるコンテンツは何でしょうか。
小さく試すなら
- 自社の拠点や設備について、時間帯別・曜日別の稼働率を2〜4週間分集計し、稼働の低い枠を特定します。
- 稼働の低い枠に限定して、価格の変更か、別用途(体験、配信、レンタルなど)の提供のどちらか一つを試します。
- 試した枠の利用数と売上を、同じ期間の他の枠と比べ、上乗せがあったかを確かめます。
- 上乗せが確認でき、運営の手間が増えすぎないと分かれば、対象の拠点や枠を広げるかを判断します。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社コシダカホールディングス / カラオケ「まねきねこ」。参照資料:2025年8月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27