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レーザーテック株式会社「半導体関連装置とサービス」に学ぶ、装置の波をサービス売上で支える事業設計

半導体関連装置の販売が前年同期比6.7%減となる一方、サービスが35.5%増となり売上高169,539百万円を保った構造を、2026年6月期 第3四半期決算短信の数字から読み解き、装置と保守の組み合わせを学びます。

この事例の要点

  • レーザーテック株式会社は、売上を「半導体関連装置」「その他」「サービス」の3品目に分けて開示しています。2026年6月期の第3四半期累計(2025年7月1日~2026年3月31日)の売上高は169,539百万円で、前年同期比0.4%増でした(2026年6月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 同じ期間に、半導体関連装置は124,664百万円(前年同期比6.7%減)、サービスは42,063百万円(前年同期比35.5%増)でした。装置が減った分を、サービスの伸びが補った形です(同決算短信)。
  • 受注時に受け取る前受金は、2025年6月30日の64,388百万円から2026年3月31日の50,626百万円へ減少しました。装置の売上が立つ時期と、お金が入る時期がずれる事業であることが数字に表れています(同決算短信)。

どんな事業か

レーザーテック株式会社は東京証券取引所に上場する企業で、連結の売上を製品の販売(半導体関連装置、その他)とサービスに分けて開示しています。決算短信では、主要販売先である半導体業界について、AIへの投資拡大を背景にGPUやHBM(広帯域メモリ)など先端半導体への旺盛な需要が続き、デバイスメーカーの設備投資に積極的な姿勢が続いた、と説明されています(2026年6月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結))。

売上は顧客の所在地で、日本、韓国、台湾、その他アジア、米国、欧州に分類されています。2026年6月期の第3四半期累計では、韓国が49,185百万円、米国が44,562百万円、台湾が31,401百万円でした。前年同期は台湾が55,832百万円、韓国が29,051百万円で、顧客の所在地による構成が1年で大きく入れ替わっています(同決算短信)。

収益の仕組み

この事例で読み取れる収益の構造は、次の3つの層です。数字はいずれも2026年6月期 第3四半期累計の決算短信にもとづきます。

  • 入り口:半導体関連装置の販売です。顧客の設備投資に合わせて売上が立つため、期ごとの増減が大きくなります。同期の装置売上は124,664百万円で、前年同期の133,568百万円から減少しました。
  • 課金:装置の販売に加え、サービスの売上があります。サービスは42,063百万円で、うち一定期間にわたり移転されるサービスが23,138百万円、一時点で移転されるものが18,924百万円でした。
  • 継続:サービスは売上全体に占める割合が高まっています。サービスの売上高構成比は、前年同期の31,052百万円(売上高168,835百万円に対して約18.4%)から、42,063百万円(売上高169,539百万円に対して約24.8%)になりました。

あわせて、納入前の装置は仕掛品として貸借対照表に載ります。仕掛品は2025年6月30日の123,672百万円から2026年3月31日の119,598百万円で、大きな規模を保っています(同決算短信)。

数字で確かめる

  • 売上高:169,539百万円、前年同期比0.4%増(2026年6月期 第3四半期決算短信)。装置の減少とサービスの増加がほぼ相殺し、全体では横ばいだったことが読み取れます。
  • サービス売上:42,063百万円、前年同期比35.5%増(同決算短信)。装置の販売が前年を下回る局面でも、サービスは伸びていることが読み取れます。
  • 営業利益:78,191百万円、前年同期比1.4%減。営業利益率は78,191÷169,539で約46.1%です(同決算短信)。売上がほぼ横ばいの中でも高い利益率を保っていることが読み取れます。
  • 前受金:64,388百万円(2025年6月期末)から50,626百万円(2026年3月期第3四半期末)へ(同決算短信)。受注時に入る資金が先行し、納入に伴って減っていくことが読み取れます。
  • 自己資本比率:72.5%(2025年6月期末は63.7%)、総資産310,812百万円(同決算短信)。多額の仕掛品を抱えながら、財務の余力も厚い事業であることが読み取れます。通期の業績予想は売上高220,000百万円(前期比12.5%減)で、決算短信には予想の修正はないと記されています。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「ハードウェア+サービス」と「保守・消耗品によるリカーリング」の型で読むことができます。半導体の設備投資は顧客の投資計画に左右されるため、装置の販売はどうしても波が出ます。その波に対して、すでに納入した装置に対するサービスが積み上がっていれば、売上全体の揺れを和らげる役割を果たすと考えられます。今回の数字では、装置の売上が6.7%減った期間に、サービスが35.5%増えています。

この型で大切なのは、サービスが「装置を売った後の付け足し」ではなく、売上の柱として設計されている点だと読めます。決算短信では、サービスの収益が「一定期間にわたり移転されるサービス」と「一時点で移転される財又はサービス」に分けて示されています。前者は前年同期の15,260百万円から23,138百万円へ増えており、継続的な提供の割合が高まっていることを示唆します。ただし、サービスの中身(保守、改造、部品など)は決算短信からは読み取れないため、増加の理由は断定できません。

もう一つの注目点は、前受金です。装置の購入前に代金の一部が入る形は、製造に時間がかかる高額な製品で資金繰りを支えると考えられます。自社に当てはめると、「納品までに時間がかかる商品で、先に入る資金をどう設計しているか」を見直すきっかけになります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の売上のうち、納品後も続く保守・運用・サポートの割合はどれくらいでしょうか。
  • 主力商品の売上が減った期に、売上を支える別の収益源は用意されていますか。
  • 納品までに時間がかかる商品で、代金の入るタイミング(前受け・分割)を顧客と事前に設計できていますか。

小さく試すなら

  1. 過去2年の売上を「商品の販売」と「納品後の保守・サポート・追加対応」に分け、構成比を月ごとに出します。
  2. 納品済みの顧客から5~10社を選び、納品後に実際に依頼された内容と、無償で対応した内容を一覧にします。
  3. 無償で対応していた作業の中から1つを選び、保守メニューとして価格と範囲を文章にします。
  4. 2~4週間のうちに既存顧客2~3社へ試験的に案内し、関心の有無と、断られた理由を記録します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:レーザーテック株式会社 / 半導体関連装置とサービス。参照資料:2026年6月期 第3四半期決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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