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株式会社メドレー「ジョブメドレー」と医療SaaSに学ぶ、人材採用と医療クラウドを重ねる事業設計

医療・介護の人材採用システム「ジョブメドレー」と、医療機関向けクラウドを組み合わせ、2025年12月期に売上高36,786百万円を上げたメドレーの構造を、決算短信の数字から確かめます。成長投資と利益の関係も学べます。

分類:企業事例 › 教育・人材・BtoB

この事例の要点

  • 株式会社メドレーは、人材プラットフォーム事業、医療プラットフォーム事業、新規開発サービスの3つのセグメントで事業を行っています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 2025年12月期の売上高は36,786百万円(前期比25.5%増)で、そのうち人材プラットフォーム事業が26,321百万円、医療プラットフォーム事業が9,378百万円を占めます(2025年12月期 決算短信)。
  • 利益の面では、人材プラットフォーム事業のセグメント利益が9,085百万円である一方、医療プラットフォーム事業と新規開発サービスはセグメント損失で、成長投資を優先している様子が決算短信から確かめられます(2025年12月期 決算短信)。

どんな事業か

株式会社メドレー(証券コード4480、上場取引所は東京証券取引所)は、医療や介護の分野で、人材採用システムと医療機関向けのクラウドサービスを提供しています。人材プラットフォーム事業では、人材採用システム「ジョブメドレー」とオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を運営しています。医療プラットフォーム事業では、病院・診療所・歯科・調剤薬局などの医療機関向けのプロダクトを提供し、2025年12月期に「MEDLEY AI CLOUD」の提供を開始しました(2025年12月期 決算短信)。

同社は、事業環境として、医療や介護の提供体制を担う人材の不足や財源問題が継続していると説明しています。新規開発サービスでは、米国での人材採用システム、介護施設の検索・紹介(「介護のほんね」、2026年1月から「みんかい」にブランド統合)、短期の人材採用に対応する「ジョブメドレースポット」などを手がけています(2025年12月期 決算短信)。

収益の仕組み

決算短信の説明から、構造を次のように整理できます。

  • 入り口:医療・介護の事業所が求人を出し、求職者(従事者会員)が応募する人材採用システム。顧客事業所数と従事者会員数の増加が、売上増の要因として説明されています。
  • 課金:人材プラットフォーム事業では、同社のサービスを利用して入職した求職者が求人事業所に入職した日付を基準に売上高を計上すると、決算短信に書かれています。
  • 横展開:医療機関向けのクラウド(電子カルテなど各領域のプロダクト)の導入が進み、利用医療機関数が増えています。
  • 周辺:研修、電子薬歴、資金調達(ファクタリングサービス)など、同じ顧客に別の価値を提供する事業を加えています。

決算短信は、入職が4月に増えるため、同月に売上高が偏る傾向があるとも説明しています(2025年12月期 決算短信)。

数字で確かめる

  • 連結業績:売上高36,786百万円(前期比25.5%増)、EBITDA4,821百万円(前期比17.2%増)、営業利益2,150百万円(前期比7.6%減)です(2025年12月期 決算短信)。売上は伸びる一方で、成長投資により営業利益は前期を下回ったことが読み取れます。
  • 人材プラットフォーム事業:顧客事業所数は前期末比9.9%増の44.8万件、「ジョブメドレー」の掲載求人数は前期末比12.3%増の47.1万件で、セグメント売上高は26,321百万円(前期比24.7%増)です(2025年12月期 決算短信)。求人の数と売上が並んで伸びていることが読み取れます。
  • セグメント利益:人材プラットフォーム事業は9,085百万円(前期比17.6%増)です(2025年12月期 決算短信)。連結の営業利益2,150百万円を大きく上回り、全社の費用を支える中心であることが読み取れます。
  • 医療プラットフォーム事業:利用医療機関数は前期末比17.1%増の2.2万件、セグメント売上高は9,378百万円(前期比23.6%増)で、セグメント損失は454百万円です(2025年12月期 決算短信)。高い売上成長を優先して、赤字を許容していることが読み取れます。
  • 財政状態:総資産41,252百万円、自己資本比率35.9%で、現金及び預金は10,420百万円減少しました(2025年12月期 決算短信)。子会社化や無形固定資産への投資を行っていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、成果報酬型マッチングとバーティカルSaaS(特定業界向けのクラウド)を重ねた型で読むことができます。入職を基準に売上を計上するという説明からは、人材採用が成果に連動する課金に近い構造だと読めます。顧客にとっては、採用できたときに費用が発生するため導入しやすく、求人と求職者が増えるほど、マッチングの機会が増えます。

重要なのは、同じ業界の顧客に複数の道具を届けようとしている点だとOtsumuは見ます。採用で関係ができた事業所に、研修を提供する。医療機関に、業務のクラウドを提供する。顧客の悩みが人材不足であれば、採用、育成、業務の効率化は、一つの課題の別の側面です。人材プラットフォーム事業の利益で、医療プラットフォーム事業と新規開発サービスの投資を支えている構図は、この考え方に沿った資金の流れと考えられます。

トレードオフは、成果が出る時期の偏りと、投資が先行する間の利益の薄さです。4月に売上が偏る傾向があることや、営業利益が前期を下回っていることは、その表れと読めます。ある業界に深く入るほど、その業界の人手不足や財源の問題といった環境の影響を受けやすくなる点にも注意が必要です。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客が抱える一つの課題に対して、別の角度から応える商品を持てているでしょうか。
  • 課金のタイミングは、顧客が成果を実感する時点に近い位置にあるでしょうか。
  • 利益を出している事業と、投資段階の事業を分けて見られる形で、数字を管理できているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 直近の顧客の数人に、いま最も困っていることを3つまで挙げてもらい、自社の商品がどれに応えているかを一覧にします。
  2. 応えていない困りごとのうち、既存の顧客から繰り返し聞くものを1つ選びます。
  3. その困りごとに対して、既存の商品に小さな機能やサービスを足す案を作り、数社に見せて、料金を払う意思があるかを確認します。
  4. 2〜4週間の聞き取りで払う意思が複数の顧客から語られれば、限定した顧客に試験提供します。語られなければ、困りごとの選び直しに戻ります。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社メドレー / ジョブメドレー、医療プラットフォーム事業。参照資料:2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月13日)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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