この事例の要点
- 株式会社オープンハウスグループは、2025年9月期から報告セグメントを「戸建関連」「マンション」「収益不動産」「プレサンスコーポレーション」「その他(アメリカ不動産等)」に整理しています(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。
- 2025年9月期の売上高は1,336,468百万円(前期比3.1%増)、営業利益は145,933百万円(前期比22.5%増)でした(2025年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 第3四半期累計では、戸建関連の売上総利益率が14.3%から17.2%に改善し、営業利益が前年同期比128.9%になりました(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。
どんな事業か
株式会社オープンハウスグループ(コード番号3288、東京証券取引所に上場)は、戸建分譲を中心に、マンション、収益不動産、アメリカ不動産などを展開する企業グループです。決算説明資料は、戸建関連事業で都市部の手の届く価格の戸建に対する需要が堅調であること、マンション事業は通期計画に対して97%が契約済みであること、アメリカ不動産は中古戸建の賃貸需要が堅調であることを、第3四半期の主なトピックスとして説明しています(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。
収益不動産事業は、10億円以下の投資用不動産に対する国内外の需要を取り込む事業で、バリューアップの一手法としてリノベーションによるホテル開発も行うと説明されています。アメリカ不動産事業は、国内の富裕層に現地の物件を提供し、物件選定、資金調達、購入手続、物件管理、将来の売却までをワンストップで支援するビジネスモデルとされています(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。
収益の仕組み
この事業の売上は、仕入れた土地や建物を商品として販売する、物件ごとの引渡しで立ちます。第3四半期累計(2024年10月〜2025年6月)の売上高は939,725百万円で、このうち戸建関連が520,845百万円(構成比55.4%)、プレサンスコーポレーションが150,500百万円、収益不動産が141,996百万円、その他(アメリカ不動産等)が110,486百万円、マンションが19,019百万円でした(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。
- 入り口:用地や物件の仕入れ。戸建関連の棚卸資産は、第2四半期末の2,574億円から第3四半期末の2,812億円に増えています。
- 課金:物件の販売。戸建関連では、売上総利益率が17.2%(前年同期は14.3%)でした。収益不動産は、売上総利益率が15.7%(前年同期は12.3%)でした。
- 継続:アメリカ不動産では、管理棟数が5,828棟(前年同期は5,000棟)と、物件管理が積み上がっています。
数字で確かめる
- 2025年9月期の売上高:1,336,468百万円(前期比3.1%増)、営業利益:145,933百万円(前期比22.5%増)、売上高営業利益率:10.9%(2025年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸びは小さくても、営業利益が大きく伸びたことが読み取れます。
- 戸建関連事業(第3四半期累計):売上高520,845百万円(前年同期比99.9%)、売上総利益89,399百万円(同119.7%)、営業利益55,984百万円(同128.9%)、営業利益率10.7%(前年同期は8.3%)(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。売上がほぼ同じでも、利益率の改善で利益が増えたことが読み取れます。
- 収益不動産事業(第3四半期累計):売上高141,996百万円(前年同期比108.6%)、営業利益14,599百万円(同167.3%)。引渡件数は387件、単価は359百万円でした(2025年9月期 第3四半期決算説明資料)。件数がほぼ横ばいでも、単価と利益率の改善で利益が大きく増えたことが読み取れます。
- 棚卸資産:766,863百万円、資産合計:1,382,490百万円(2025年6月末)。棚卸資産の割合は約55.5%です(2025年9月期 第3四半期決算説明資料の数値から計算)。資産の半分強が販売前の在庫である、在庫を抱える事業であることが読み取れます。
- 自己資本比率:38.1%(2025年9月期末)。2026年9月期の予想は、売上高1,485,000百万円、営業利益170,000百万円です(2025年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。在庫に資金を投じつつ、財務の健全性を保って次期の拡大を計画していることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「垂直統合」の型として読むことができます。用地の仕入れから、建築、販売まで、複数の工程を自社グループで手がけ、仕入れた物件を一定期間内に販売して利益を確定します。戸建関連の利益が、売上がほぼ横ばいのまま売上総利益率の改善で増えているように、この型では、売上の規模よりも、仕入れ価格と販売価格の差、つまり1件あたりの利益の取り方が成果を分けると考えられます。
在庫を抱える事業の特徴は、資金と時間がかかる一方、仕入れの判断が収益を左右する点です。資産の半分強が棚卸資産で、第3四半期末にかけて戸建関連の棚卸資産が増えていることは、来期の販売数量の拡大に備えて仕入れを積んでいる動きとして読めます(会社の説明にも、来期の販売数量拡大に向けた在庫の積み増しが挙がっています)。同時に、在庫が積み上がるほど、需要が落ちたときの影響も大きくなります。自己資本比率やネットD/Eレシオを開示して財務の状況を示していることは、この性質に対応したものと読めます。
アメリカ不動産、収益不動産、マンションと、同じ「物件を仕入れて売る」仕事を、顧客層や地域を変えて並べていることも特徴です。仕入れと販売のノウハウを、異なる市場に展開して分散していると考えられますが、各事業の相互の関係は資料の範囲では確かめきれません。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の事業で、在庫や仕込み(仕入れ、前払いの制作費、人員の先行配置)を抱える割合はどのくらいですか。
- 売上が横ばいでも、1件あたりの利益を高められる余地はどこにありますか。
- 同じ仕事の進め方を、別の顧客層や地域に応用できる部分はありますか。
小さく試すなら
- 直近1年の案件または商品を、売上と粗利の高い順に並べ、利益率の高い案件の共通点を探します。
- 共通点をもとに、仕入れ、受注、提案の基準を一つだけ見直します。
- 見直した基準を2〜4週間、新しい案件に適用して試します。
- 案件ごとの粗利率を記録し、基準を見直す前の案件と比べます。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社オープンハウスグループ / 戸建関連と収益不動産。参照資料:2025年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2025年9月期 第3四半期決算説明資料。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25