← 企業事例

OTSUMU KNOWLEDGE

Planet Fitness, Inc.の低価格フィットネスのフランチャイズに学ぶ事業設計

Planet Fitness, Inc.は、低価格の月会費で会員を集めるフィットネスクラブを、主にフランチャイズで展開しています。ロイヤルティ、直営クラブの会費、器具販売を組み合わせた収益設計と、会費制とフランチャイズの両立を学びます。

この事例の要点

  • Planet Fitness, Inc.は、2025年末時点で約20.8 millionの会員と2,896のクラブ(フランチャイズ2,604、直営292)を持ち、2025年のrevenuesは$1.3 billion、system-wide salesは$5.3 billionでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 収益はFranchise、Corporate-owned clubs、Equipmentの3つのセグメントから成り、2025年の構成比はそれぞれ35.4%、41.2%、23.4%でした(Form 10-K、FY2025)。
  • 同社は、2025年に直営クラブとフランチャイズの収益の90%超が、ロイヤルティや月会費、年会費といった継続的な収益だったと説明しています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は「Judgement Free Zone」と呼ぶ、初心者でも気後れせずに通える環境を掲げ、通常20,000 square feetのクラブで、有酸素運動や筋力トレーニングの器具と、スタッフによる少人数の無料指導を提供しています。グループレッスンやプールなどは置かず、器具のスペースを確保しています(Form 10-K、FY2025)。

料金は、米国の新規会員向けにClassic Cardが月$15から、全クラブを使えるPF Black Cardが月$24.99で、同社は業界団体が示す2024年の業界平均の月$69を大きく下回るとしています(Form 10-K、FY2025)。

2025年の新規クラブはほぼすべて既存のフランチャイジーが開き、2025年末時点で約750の追加クラブの出店契約があるとしています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

Franchiseセグメントの収益には、ロイヤルティ、広告基金(NAF)への拠出、フランチャイズ料、エリア開発契約の前払い料などが含まれます。Corporate-owned clubsセグメントは、直営クラブの月会費、入会金、年会費、物販です。Equipmentセグメントは、フランチャイズ店の新規開業時と入れ替え時の器具販売で、フランチャイジーはおおむね5年から9年ごとに器具を入れ替える必要があります(Form 10-K、FY2025)。

ロイヤルティはフランチャイズ店の会費の請求額にもとづき、フランチャイジーへの送金前に差し引かれます。現在のロイヤルティ率は7%で、2025年末時点で約63%のクラブがこの率で支払い、平均ロイヤルティ率は6.7%でした(Form 10-K、FY2025)。

費用面では、Cost of revenueは主に器具販売の直接費、Club operationsは直営クラブの人件費や賃料などで、フランチャイズ店の運営費は同社の損益計算書に含まれません(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • セグメント別revenue(in thousands)は、Franchiseが$467,958、Corporate-owned clubsが$546,097、Equipmentが$310,089、合計$1,324,144でした(Form 10-K、FY2025)。直営クラブの会費収入が最大の柱であることが読み取れます。
  • Segment Adjusted EBITDAは、Franchiseが$336,592、Corporate-owned clubsが$206,347、Equipmentが$94,478(いずれもin thousands)でした(Form 10-K、FY2025)。フランチャイズ事業が最も多くの利益を生んでいることが読み取れます。
  • system-wide salesのうち$4.7 billionがフランチャイズ店、$552.2 millionが直営クラブでした(Form 10-K、FY2025)。ロイヤルティの基盤となる会費の大半がフランチャイズ店にあることが読み取れます。
  • 開業から12か月超の直営クラブの平均売上(AUV)は約$2.0 millionで、four-wall Adjusted EBITDA marginは約42.7%、7%のロイヤルティを差し引くと約35.3%でした(Form 10-K、FY2025)。フランチャイジーにとっての店舗収益性の目安が読み取れます。
  • PF Black Cardの比率は66.5%、平均月会費は$19.51でした(Form 10-K、FY2025)。上位プランが単価を支えていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。フランチャイズと会費制を組み合わせたこの事業は、フランチャイジーが十分に稼げる店舗モデルと、会員が払い続けられる低い月会費の両立で成り立っていると考えられます。直営クラブで示すロイヤルティ控除後の利益率は、フランチャイジーの出店判断の材料になり、既存フランチャイジーによる出店につながっていると読めます。

裏側で必要な仕事は、ブランドと会員体験の統一、そして会費の請求・回収の仕組みです。ロイヤルティを送金前に差し引く仕組みは、本部の回収リスクを抑える設計だと読めます。また、広告基金と地域広告費の義務づけで合計$360 millionを超える広告費を投じたと同社は見積もっており、店舗単独では難しい規模の集客を本部が担っていると考えられます。器具の入れ替え義務は、品質維持と本部の器具販売収入を兼ねています。

トレードオフは、低価格を保つための設備の割り切りと、フランチャイジーへの依存です。付帯設備を絞って価格を抑える分、差別化はPF Black Cardの特典などに頼る部分があると読めます。成長がフランチャイジーの出店意欲に左右されるため、店舗の収益性の低下は出店ペースに響くと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社のサービスは、提供しないことを決めることで価格を下げられる部分がないでしょうか。
  • 代理店や加盟店にとっての収益性を、数字で示せる形になっているでしょうか。
  • 月額料金の回収を、自社の手間やリスクを増やさずに行えているでしょうか。
  • 標準プランから上位プランへ移る理由を、利用者にわかりやすく示せているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 自社サービスの機能や付帯サービスを一覧にし、利用状況と費用を並べて、削っても利用者の満足が落ちにくいものを選びます。
  2. 絞り込んだ内容で低価格プランと上位プランの案をつくり、違いを一文で説明できるか確かめます。
  3. 既存顧客や見込み客10人程度に両プランを見せ、どちらを選ぶかと理由を聞きます。
  4. 2〜4週間で結果をまとめ、低価格プランでも採算が合い、上位プランを選ぶ人が一定数いると分かれば、限定的な販売開始に進みます。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:Planet Fitness, Inc. / 低価格フィットネスのフランチャイズと会員制。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

あわせて読む

次の一手を、一緒に。

事業の検証から開発・運用まで、現在の段階に合わせて支援します。

事業について相談する ↗
FROM KNOWLEDGE TO ACTION

知識を、次の一手へ。

30分の無料診断で、次の一手を整理する ↗