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OTSUMU KNOWLEDGE

リクルートホールディングスの求人検索「Indeed」に学ぶ事業設計

株式会社リクルートホールディングスは、求人検索「Indeed」などのHRテクノロジー事業、人材派遣事業、マーケティング・マッチング・テクノロジー事業を展開しています。求職者と企業をつなぐマッチングで、成果に応じた課金を組み合わせる設計を学べます。

この事例の要点

  • 事業は、IndeedやGlassdoor、Indeed PLUSなどを運営するHRテクノロジー事業、人材派遣事業、マーケティング・マッチング・テクノロジー事業の3つで構成されています(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 2026年3月期の売上収益は3,697,351百万円(3.9%増)、営業利益は630,567百万円(28.5%増)でした(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • HRテクノロジー事業の米国では、採用需要が停滞する中、マネタイゼーションの進化により米国平均単価成長率が17%となり、増収しました(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、個人ユーザーと企業クライアントの双方に最適なマッチングを提供するマーケットプレイスビジネスモデルを通じて事業を行ってきたと説明しています。現在はAIを活用したマッチングの効率化と高速化に注力しているとしています(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

HRテクノロジー事業は、グローバルで展開するIndeedとGlassdoor、日本で展開する求人配信プラットフォームのIndeed PLUSを含む人材マーケットプレイスを運営しています。掲載求人は公開情報からの集約、ATS経由、企業の直接投稿によるもので、求人件数は2,000万件以上にのぼります(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

Indeed PLUSは、Indeedの技術と、タウンワークやリクナビNEXTなど国内ジョブボードのデータや知見を組み合わせた求人配信プラットフォームです。人材派遣事業は日本と欧州・米国・豪州で展開し、マーケティング・マッチング・テクノロジー事業は美容、旅行、飲食分野とAirビジネスツールズを含む業務支援SaaSからなるライフスタイル領域、住宅領域などで構成されます(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

HRテクノロジー事業では、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディングを提供しています。加えて、ペイフォーパフォーマンスモデルあるいはサブスクリプションモデルで、候補者のソーシング、スクリーニング、候補者とのやり取りや面接といった採用プロセスのサービスを提供しています(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

同社は、米国売上収益を米国求人総数で割った求人1件当たりの平均売上収益を米国平均単価と定義し、その成長率を開示しています。またIndeedの採用効率の進み具合を示す指標として、1分当たりの平均採用者数を挙げており、2025年は社内測定で31名でした(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

費用については、HRテクノロジー事業のEBITDA+Sマージンが人件費の減少を含む効率化により37.7%となったと説明されています。今回参照した公開資料には、それ以外の費用の内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • 売上収益3,697,351百万円、EBITDA+S 794,390百万円(17.0%増)(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。売上の伸びを上回って利益指標が伸びたことが読み取れます。
  • HRテクノロジー事業の売上収益は6.3%増の1兆4,584億円、EBITDA+Sは21.5%増の5,499億円(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。グループの利益を支える中心の事業であることが読み取れます。
  • HRテクノロジー事業の地域別売上収益は、米国8,016億円(7.6%増)、欧州及びその他3,085億円(17.8%増)、日本3,482億円(4.6%減)(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。地域ごとに伸び方が異なることが読み取れます。
  • 人材派遣事業の売上収益は2.2%増の1兆7,034億円、EBITDA+Sマージンは5.9%(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。売上規模は大きい一方、利益率は低い事業であることが読み取れます。
  • マーケティング・マッチング・テクノロジー事業の売上収益は4.7%増の5,646億円、EBITDA+Sマージンは27.4%(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。この事業も一定の利益率を持つことが読み取れます。
  • Indeedを採用のために毎年利用する企業クライアントは350万社、Indeed上の求職者プロフィールは6億6,500万件以上(2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結))。両側の利用者規模が大きいことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、リード獲得・送客メディアと成果報酬(送客・リード課金)の組み合わせと読めます。大量の求人を集めて求職者を呼び込み、その求職者を企業につなぐことで対価を得る形です。成り立つ条件は、求人の量と求職者の量が互いを呼び込む状態を保ち、企業にとって採用につながる送客であると示せることだと考えられます。

裏側で必要な仕事は、マッチングの精度を上げるためのデータの蓄積です。同社は、応募や面接、採用オファーなどのやり取りを段階ごとに追跡し、外部ATSとの連携でデータを集めていると説明しています。成果に応じた課金を成り立たせるには、何が成果かを測れることが前提になるため、この追跡が収益の土台になっていると考えられます。

トレードオフとしては、採用需要が停滞すると求人の出稿が影響を受けやすいことが挙げられます。米国では需要が停滞する中でも、求人1件当たりの単価を上げる形で増収しており、件数ではなく単価で伸ばす手段を持っていたと読めます。一方で日本は減収となっており、Indeed PLUSによる国内ジョブボードとの連携が今後の数字にどう表れるかが論点になると考えられます。人材派遣との利益率の差は、同じ人材領域でも仕組みで収益性が異なることを示しています。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の送客やリード提供で、顧客にとっての「成果」を何と定義し、どう測っているか。
  • 件数が伸びない局面で、1件当たりの単価を上げる手段を持っているか。
  • 送客から成約までの各段階のやり取りを、記録して改善に使えているか。

小さく試すなら

  1. 送客の流れを流入から成約までの段階に分け、各段階の件数を記録する(1〜2週間)。
  2. 顧客3社程度に、どの段階を成果と考えるかを聞き取り、成果に応じた料金案を作る(2週間)。
  3. 一部の顧客で、掲載料型と成果報酬型の料金案を並べて提示し、選ばれる割合と受注額を比べる(2〜4週間)。
  4. 成果の定義に顧客と合意でき、成果報酬型でも受注額が保てると分かれば、対象顧客を広げます。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社リクルートホールディングス / 求人検索「Indeed」と人材派遣・販促事業。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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