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OTSUMU KNOWLEDGE

株式会社サイゼリヤのイタリアンレストランチェーンに学ぶ事業設計

日本・豪州・アジアの3セグメントで、豪州で当社が使う食材を製造し、店舗で料理を提供する外食チェーンです。売上高256,714百万円の事業を、食材づくりから店舗運営までを自社グループで担う垂直統合の視点で読み解きます。

この事例の要点

  • 株式会社サイゼリヤは、イタリアの家庭料理を店舗で提供する外食事業を基幹事業とし、「日本」「豪州」「アジア」の3セグメントで業績を開示しています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 「豪州」セグメントは同社で使用する食材の製造等を行っており、食材の製造と店舗での提供をグループ内で持つ構造になっています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 当期の売上高は256,714百万円(前期比14.3%増)、営業利益は15,499百万円(前期比4.3%増)でした。一方で、米価格の高騰や円安による食材価格・エネルギー価格の上昇の影響を受けたと説明しています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、株式会社サイゼリヤと子会社12社で構成され、外食事業を基幹事業としています。「世界中の人々においしくて健康的なイタリアの家庭料理を店舗で便利に楽しく食べていただく事」を目指していると説明しています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

セグメントは3つです。「日本」は国内の店舗事業で、ゾーンマネジャーの増員による店舗組織の改善、メニュー施策やDX活用の効果により、既存店の客数・客単価が増加傾向にあるとしています。「豪州」は同社で使用する食材の製造等を担っています。「アジア」は新規出店を継続的に進め、店舗数が増加したと説明しています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

当期の施策として、2024年9月にゾーンマネジャーを2名増員して7ゾーン体制としたこと、QRコードと顧客の携帯端末を使った注文方式を2025年8月末現在で約900店舗に導入したこと、未出店県である徳島県・愛媛県・大分県への出店、2025年5月のベトナム1号店の出店などが挙げられています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

収入の中心は、店舗を訪れるお客様の飲食代金です。「日本」セグメントでは既存店の客数と客単価がともに増加傾向にあると説明されており、来店数と一人あたりの支払額の両方が売上を形づくっています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用面について、同社は米価格の高騰や円安による食材価格・エネルギー価格の上昇の影響を受けていると説明しています。次期についても、食材価格・資源価格の高騰や人手不足による人件費の上昇傾向など、厳しい状況が続くと見ています。ただし、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

投資の面では、内部留保資金を新たな成長につながる店舗および自社工場などの設備投資に充当していく方針です。今後は作業モデル・店舗レイアウトモデル・利益モデルづくりに加え、商品関連部門の組織変更、グローバルな視野でのサプライチェーン構築、DX推進、IT投資の継続を行うとしています(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 連結売上高は256,714百万円(前期比14.3%増)でした(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。店舗事業の規模が前期から広がったことが読み取れます。
  • 「日本」セグメントの売上高は1,729億8百万円(前期比18.1%増)、営業利益は50億33百万円(前期比83.9%増)でした(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。国内事業の利益が大きく伸びたことが読み取れます。
  • 「豪州」セグメントの売上高は111億48百万円(前期比2.9%増)、営業利益は3億25百万円(前期比31.3%減)でした(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。食材製造を担う部門の規模感が読み取れます。
  • 「アジア」セグメントの売上高は838億2百万円(前期比7.4%増)、営業利益は101億32百万円(前期比12.8%減)でした(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収の一方で利益は減ったことが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フローは26,280百万円、有形固定資産の取得による支出は184億90百万円でした(2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。本業で得た資金を設備に振り向けている様子が読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。同社の構造は、食材の製造を担う「豪州」セグメントと、国内外の店舗を運営する「日本」「アジア」セグメントを一つのグループで持つ、垂直統合の形として読めます。食材の製造から店舗での提供までを自社で設計できれば、メニューの品質や提供の手順を揃えやすく、店舗数が増えるほど同じ仕組みを繰り返し使える、という考え方が背景にあると考えられます。

一方で、垂直統合には固定的な設備を持ち続ける負担が伴います。同社は内部留保を店舗と自社工場などの設備投資に充てる方針を示しており、工場や物流を回し続けるための稼働管理、品質の維持、在庫の調整といった裏側の仕事が欠かせないと考えられます。

トレードオフとして、食材価格やエネルギー価格が上がったとき、自社製造であっても原材料の上昇そのものは避けられず、価格転嫁と来店客数のバランスが問われます。同社が「作業モデル」「店舗レイアウトモデル」「利益モデル」づくりを掲げ、QRコード注文の導入を進めているのは、店舗側の作業を標準化してコスト上昇を吸収する余地をつくる取り組みと読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品・サービスのうち、外部に任せている工程と自社で持つべき工程の境目はどこにあるか。
  • 自社で工程を持つとした場合、その設備や人員を使い切れるだけの販売量や拠点数を見込めるか。
  • 原材料やエネルギーの価格が上がったとき、価格・客数・作業効率のどこで吸収するかを事前に決めているか。
  • 現場の作業を標準化するための「モデル」(手順・レイアウト・利益の型)を言語化できているか。

小さく試すなら

  1. 1週目:自社の提供プロセスを調達・製造・提供の工程に分け、工程ごとに外部依存か自社内かを一覧にします。
  2. 2週目:外部依存の工程から一つを選び、品質のばらつきや納期の遅れが売上や顧客満足に与えている影響を、既存の記録から洗い出します。
  3. 3週目:その工程を一部だけ自社で担う、または手順書を整えて標準化する小さな試行を行い、作業時間と品質の変化を記録します。
  4. 4週目:試行の結果、品質の安定や作業時間の短縮が確認できれば、対象工程を広げる判断に進みます。効果が見えなければ外部委託の条件見直しを優先します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社サイゼリヤ / イタリアンレストランチェーン。参照資料:2025年8月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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