分類:企業事例 › メディア・広告・ゲーム
この事例の要点
- 株式会社TBSホールディングスの2026年3月期の連結売上高は4,248億5千万円(前年比4.5%増)、営業利益は247億5千万円(同27.1%増)で、増収の要因は㈱TBSテレビの広告収入の増収や配信広告収入の伸長等と説明されています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 収益の中心はメディア・コンテンツ事業で、売上高3,122億3千7百万円、営業利益146億1千2百万円(前年比72.1%増)でした(2026年3月期 決算短信)。
- 同社は中期経営計画で、地上波広告市場の急速な状況変化を踏まえ、コンテンツIPの企画・制作力の強化と獲得、コンテンツを多面的に収益化する成長投資を進める方針を示しています(2026年3月期 決算短信)。
どんな事業か
株式会社TBSホールディングス(東京証券取引所に上場)は、㈱TBSテレビ、㈱TBSラジオ、㈱BS-TBS、㈱TBSグロウディアなどを傘下にもつ持株会社です。報告セグメントは、放送・配信・事業などを担うメディア・コンテンツ事業、雑貨小売や化粧品、個別指導塾などを展開するライフスタイル事業、不動産・その他事業の三つです(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
メディア・コンテンツ事業の中心は㈱TBSテレビで、テレビ部門の売上高は2,251億1百万円(前年比6.2%増)でした。ライフスタイル事業ではスタイリングライフグループの「プラザスタイルカンパニー」(雑貨小売)や「BCLカンパニー」(化粧品の開発・製造・販売)、やる気スイッチグループ(個別指導塾・幼児教育)が事業を行っています(2026年3月期 決算短信)。
収益の仕組み
テレビ部門の収益は、広告を主としつつ、配信や二次利用へ広がっています。決算短信の記載に沿って整理すると、次のようになります。
- 放送の広告:タイム収入886億5千万円、スポット収入874億1千3百万円。
- 配信の広告:TVerを中心とした配信広告収入が143億1千2百万円。
- 配信の課金:有料配信収入が93億3千4百万円。
- 作品の二次利用:事業部門で、劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション」の大ヒットや映画・アニメの二次利用収入の好調等により、売上高が187億9千2百万円。
以上は㈱TBSテレビの数字で、いずれも2026年3月期の売上高です(2026年3月期 決算短信)。放送で生まれた番組や作品が、広告、配信、映画・アニメと複数の収益源に広がっていることが読み取れます。ライフスタイル事業は放送とは別の収益源で、売上高957億2千4百万円(前年比2.3%増)、営業利益28億6千6百万円(同18.2%減)の増収減益でした。
数字で確かめる
- 連結売上高4,248億5千万円(前年比4.5%増)、営業利益247億5千万円(同27.1%増)、営業費用は4,001億円(同3.3%増)(2026年3月期 決算短信)。費用の伸びより売上の伸びが大きく、利益が増えたことが読み取れます。
- タイム収入は886億5千万円(前年比9.1%増)、スポット収入は874億1千3百万円(同6.1%増)(2026年3月期 決算短信)。タイム収入は「東京2025世界陸上」の貢献等、スポット収入はシェアの伸長等によると説明され、広告が引き続き中核であることが読み取れます。
- 配信広告収入は143億1千2百万円(前年比18.8%増)、有料配信収入は93億3千4百万円(同16.8%減)(2026年3月期 決算短信)。同じ配信でも、広告型は伸び、課金型は海外配信の作品数の差等で減っており、伸びる部分と減る部分が分かれていることが読み取れます。
- ライフスタイル事業は売上高957億2千4百万円(前年比2.3%増)、営業利益28億6千6百万円(同18.2%減)(2026年3月期 決算短信)。放送以外の事業が、売上では貢献しつつ利益は人件費や出店費用等の増加などで減ったことが読み取れます。
- 資産合計は1兆6,282億2千万円、自己資本比率は69.3%で、投資有価証券は2,598億2千6百万円増加(2026年3月期 決算短信)。保有する株式の含み益の増加等が資産を押し上げており、事業の収益とは別の資産を大きく持つことが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「広告モデル」を土台に、「コンテンツIPの多面展開」を重ねた構造と読めます。広告は、番組を多くの視聴者に届けることで広告主から対価を得る仕組みです。その番組を配信、映画、アニメとして再び使えれば、同じ制作費から複数の収益を得られます。決算短信で二次利用収入や配信広告収入の好調が増収の要因として挙げられているのは、この重ね方が機能していることを示すものだと考えられます。
同時に、同社が中期経営計画で「地上波広告市場の急速な状況変化」に触れているのは、広告という入り口が外部環境に左右されることへの認識の表れと読めます。そのうえで、コンテンツIPの企画・制作力を強化し、多面的に収益化する方針を示しているのは、入り口を変えずに出口を増やす発想だと考えられます。ライフスタイル事業のように放送と別の収益源を持つことも、広告市況の波を和らげる位置づけだと読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の収益は、一つの入り口(一つの顧客層、一つの広告・集客手段)に偏っていませんか。
- 一度作った成果物(記事、動画、資料、ノウハウ)を、別の形で再利用して収益に変える余地はありますか。
- 本業と別の収益源を持つとき、本業の強み(集客力、ブランド)をどこで活かせますか。
小さく試すなら
- 過去1年の収益を、入り口(集客経路や顧客層)別に分け、上位1つへの依存度を確認します。
- 最も使われた成果物を1つ選び、別の形(短い動画、資料、講座など)に作り替える案を3つ出します。
- そのうち1案を2〜4週間で試作して公開し、閲覧数や問い合わせ数を記録します。
- 元の成果物と試作の反応を比べ、再利用で増えた収益や手間を確認し、続けるかどうかを決めます。
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資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社TBSホールディングス / テレビ広告とコンテンツ・ライフスタイル。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25