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OTSUMU KNOWLEDGE

ワークマンの作業服・機能性ウエアのフランチャイズ小売に学ぶ事業設計

ワークマンはフランチャイズ中心の1,094店舗で、チェーン全店売上高構成比71.9%を占めるPB商品を販売しています。加盟店網を自社開発商品の販路にする設計を学べる事例です。

この事例の要点

  • ワークマンは作業服を中心とする機能性ウエアの専門チェーンで、1,094店舗のうち1,006店舗がフランチャイズ・ストアです(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。
  • 自社で開発するPB(プライベート・ブランド)商品のチェーン全店売上高構成比は71.9%まで高まり、プロ向けで培った技術をカジュアルウエアに広げています(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。
  • 当期は営業総収入160,852百万円(17.5%増)、営業利益29,676百万円(21.7%増)で、営業総収入営業利益率は18.4%でした(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。

どんな事業か

同社は、ワーキング・ユニフォーム業界に属する小売チェーンです。「中期成長ビジョン2030」で掲げた「すべての人に機能性ウエアを」の実現に向け、プロの作業者から一般の顧客まで客層を広げる取り組みを進めていると説明しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。

店舗は複数の業態で展開しており、当事業年度末の合計1,094店舗の内訳は、ワークマン255店舗、プラス711店舗、#女子31店舗、カラーズ87店舗、プロ10店舗です。当期はワークマンカラーズ38店舗、ワークマンプラス10店舗の合計48店舗を新規出店し、改装転換は87店舗でした。新たに「法人フランチャイズ制度」を導入し、ショッピングセンターへの出店を強化したとしています(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。

商品面では、「ワーク強靭化」として高機能モデルや価格競争力のあるモデルを開発し、気候変動に対応した新機能・新素材の開発も進めました。プロユースの技術を転用した「快適普段着」を拡充し、疲労軽減をうたうリカバリーウエアは同社を代表するヒット商品に育ったと述べています(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。

収益の仕組み

店舗の運営形態は、フランチャイズ・ストア(加盟店A契約店舗)と、直営店(加盟店B契約店舗、トレーニング・ストア及びショッピングセンター店舗)に分かれます。当期末はフランチャイズ・ストアが1,006店舗(うち法人FC6店舗)、直営店が88店舗でした(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。

運営形態別の売上高は、フランチャイズ・ストアが1,848億37百万円(チェーン全店売上高構成比88.3%)、直営店が243億96百万円(同11.7%)です。同社はチェーン全店売上高209,234百万円と、自社の損益計算書上の営業総収入160,852百万円を分けて開示しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。今回参照した公開資料には、営業総収入がどのような収入で構成されるか(加盟店からの収入の内訳など)は示されていません。

販売面では、SNSマーケティングに加え、スマホアプリ開発やテレビCM放映などのプロモーションを展開し、売場と連動させることで既存店の活性化を図ったとしています。費用の内訳は、今回参照した公開資料には示されていません。

数字で確かめる

  • 営業総収入160,852百万円(前期比17.5%増)(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。事業規模が大きく伸びた年であることが読み取れます。
  • 営業利益29,676百万円(前期比21.7%増)、営業総収入営業利益率18.4%(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。売上の伸びを上回って利益が増えていることが読み取れます。
  • チェーン全店売上高209,234百万円(前期増減率14.3%)、既存店は前年同期比9.0%増(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。新規出店だけでなく既存店の伸びが成長を支えていることが読み取れます。
  • PB商品のチェーン全店売上高構成比71.9%(前年同期比3.4ポイント増)(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。自社開発商品への依存度が高まっていることが読み取れます。
  • フランチャイズ・ストアの売上構成比88.3%(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。店舗運営の大部分を加盟店が担っていることが読み取れます。
  • 自己資本比率82.8%(2026年3月期 決算短信[日本基準](非連結))。借入に頼らない財務体質であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「フランチャイズ」と「プライベートブランド(PB)」の2つの型が組み合わさっています。フランチャイズで店舗網を広げると、本部は販売の接点を多く持てます。その接点で自社開発のPB商品を売ることで、商品開発の成果がチェーン全体に一気に届く構造と読めます。PB比率が71.9%に達していることは、店舗が自社商品の販路として機能していることを示していると考えられます。

成り立つ条件は、プロ向けの機能性という明確な強みを持ち、それを一般客向けに転用できる開発力があることです。同社が今後の方針として「マス化製品政策」による主力製品の量産体制強化や、製品開発から物流・販促・売場までの一貫した連携を掲げていることからも、本部側に商品・物流・販促の仕事が集中していると読めます。

トレードオフとして、PB比率を高めるほど、仕入価格の上昇や在庫のリスクを本部が直接負うことになります。同社自身も円安・原材料費の高騰による仕入価格の上昇に触れています。また、カラーズのような新業態や法人フランチャイズでショッピングセンターに出ると、客層は広がる一方、従来の作業服の専門店としての分かりやすさとの両立が課題になると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の専門領域で培った機能や技術を、一般の顧客向けに転用できる商品はあるか。
  • 販売の接点を他者に担ってもらう場合、そこで自社開発の商品を売る比率をどこまで高められるか。
  • 新しい客層に向けた業態を作るとき、既存の顧客にとっての分かりやすさを損なわないか。
  • 商品開発から売場までを一貫させるために、本部が持つべき機能は何か。

小さく試すなら

  1. プロ・法人向けに提供している商品やサービスのうち、一般の顧客にも価値がありそうなものを3つ程度選びます。
  2. 一般向けに名称・説明・価格を見直した試作版を作り、既存の販売チャネルやSNSで2〜4週間テスト販売します。
  3. 購入者の属性と、既存のプロ向け顧客との重なりを記録し、どの機能が評価されたかを聞き取ります。
  4. 新しい客層からの購入が一定数あり、粗利が既存商品と同水準以上であれば、量産や販路拡大を検討する段階に進みます。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社ワークマン / 作業服・アウトドア衣料のフランチャイズ小売。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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