ACV・TCVとは
ACVは契約を一年あたりに直した価値、TCVは契約期間全体を通した価値を表します。どちらも契約の大きさを数字で把握するための指標です。
たとえば複数年の契約でも、一年あたりの規模を比べたいときはACV、契約全体でいくら見込めるかを見たいときはTCVを使います。
ACVはAnnual Contract Value、TCVはTotal Contract Valueの略です。年額換算と総額という二つの見方を、略語で使い分けています。
仕組み・ポイント
二つの違いは、何をどの期間で数えるかにあります。
| 項目 | ACV | TCV |
|---|---|---|
| 期間 | 一年あたり | 契約期間の全体 |
| 継続的な料金 | 年換算して含める | 期間分を合計する |
| 初期費用などの一時費用 | 含めるか決めて統一 | 含めることが多いが要確認 |
| 向く用途 | 年ごとの規模比較、営業目標 | 契約全体の価値、受注の大きさ |
整理しておきたい論点は次のようなものです。
- 初期設定費などの一時的な費用をACVに含めるかどうか。
- 割引や無料期間を、どの時点の価値として数えるか。
- 途中解約できる契約は、確定した額なのか見込みなのか。
ここを曖昧にすると、同じ名前の指標でも担当者ごとに数字が食い違います。社内の定義を一つに決め、案件の管理表に注記しておきます。
実務での使い方・具体例
架空のサービスで、三年契約の案件と、一年更新の案件があるとします。TCVだけで見ると三年契約が大きく見えますが、ACVに直すと規模が近い場合があります。
営業目標を年ごとに立てるならACV、契約の獲得そのものの大きさを評価するならTCVが向きます。両方を記録しておけば、目的に応じて切り替えられます。
また、売上として計上されるタイミングはACVやTCVの数字とは異なる場合があります。会計上の扱いは専門家に確認し、営業の管理指標とは分けて考えるのが安全です。
管理表に持たせる項目
案件の一覧には、契約開始日、契約期間、年額換算の継続料金、一時費用、割引の条件を別々の列で持たせます。合計額の列だけだと後から換算し直せません。更新や解約の時期も記録しておけば、翌年の見込みを立てる材料にもなります。
比較するときの注意
同じ顧客の更新前後でACVを比べる場合は、値引きの条件や契約範囲が変わっていないかを先に確認します。範囲が広がった場合の増額と、単価が上がった場合の増額は、顧客への意味が異なります。TCVを営業の評価に使うなら、中途解約の可能性が低い契約と高い契約を分けて集計し、数字の確からしさを併記します。
よくある誤解と注意点
- TCVが大きい案件が、そのまま良い案件とは限りません。 期間が長いだけの場合や、中途解約の条件が緩い場合があります。
- ACVは売上高そのものではありません。管理上の指標であり、会計の数字と区別します。
- 一時費用を含めるかどうかで、ACVは大きく変わります。
- 契約書の条件が案件ごとに違う場合は、換算ルールを例外込みで決めます。
関連用語
- MRR・ARR:継続課金の規模を月・年で見る指標。
- 商談化率・受注率:案件が受注に進む割合を見る指標。
- 営業サイクル(リードタイム):案件獲得までの期間を見る指標。
- パイプライン:案件の流れと見込み額を管理する一覧。
- LTV(顧客生涯価値):契約を超えた顧客の生涯価値を考える指標。
- 関連する実践ノート:指標の定義を分母と期間まで含めてそろえる考え方をまとめています。
Otsumuに相談できること
契約額の指標は、定義が営業・経理・経営でずれやすい部分です。会計上の扱いは専門家に確認が必要ですが、管理指標の整理は一緒に進められます。 Otsumuでは、指標の定義づけや計測の整え方を KPI設計のご支援 としてご相談いただけます。まだ考えが固まっていない段階でも構いませんので、状況の整理から 30分の無料相談 をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04