ROAS・ROIとは
ROASは広告費に対して広告経由で得た売上がどれだけかを示す比率、ROIは投資に対して得られた利益の比率です。どちらも、費用をかけた結果の効率を見る指標です。
平たく言えば、ROASは「広告一単位あたりの売上」、ROIは「かけた費用に対して残った利益」を表します。同じ「費用対効果」と呼ばれても、見ているものが異なります。
ROASはReturn On Advertising Spend、ROIはReturn On Investmentの略です。ROASは広告に特化した指標、ROIはより広く投資の評価に使われる指標です。
仕組み・ポイント
二つの違いは、分子に売上を使うか、利益を使うかにあります。
| 指標 | 計算 | 分子 |
|---|---|---|
| ROAS | 広告経由の売上 ÷ 広告費 | 売上 |
| ROI | (得られた成果の金額 − 投資額)÷ 投資額 | 利益 |
ROASは原価や運用の費用を含まないため、ROASが高くても利益が出ているとは限りません。商品の粗利が低ければ、ROASが大きくても赤字になりえます。
使い方の要点は次の通りです。
- 分子に何を使うか(売上、粗利、営業利益に近いもの)を決める。
- 広告費以外に必要な費用(制作費、運用の人件費)を含めるかを決める。
- 効果が出るまでの期間が長い事業は、期間を区切って評価する。
- 継続課金の事業では、初回の売上だけでなく継続を含めて評価する。
指標の目標値は、粗利と許容できる赤字の期間から逆算して決めます。
実務での使い方・具体例
架空のサービスで、広告経由の初回売上が広告費を上回っていたとします。ROASだけを見ると良好ですが、粗利と運用の費用を差し引くと、利益がほとんど残らない状況かもしれません。
そこでROIの観点から、利益ベースで評価し直します。さらに継続課金の事業なら、顧客が数か月使い続ける前提で回収を見ます。初回では赤字でも、継続を含めれば黒字になる広告と、初回の売上が高くても解約が早い広告を区別できます。
広告の配分を決める会議では、売上基準と利益基準の両方の数字を並べ、どちらの基準で判断するかを明確にします。
長期の事業での見方
新規事業では、初期の数か月は赤字でも、学習のために投資する判断があり得ます。その場合、ROIがマイナスでも、何を学ぶためにいくらまで許容するかを事前に決めておきます。学びの目的と上限を定めておくことで、費用の増加を無自覚に許してしまう事態を防げます。
よくある誤解と注意点
- ROASと利益は同じではありません。 売上ベースの指標だけで判断すると、赤字の広告に投資し続けることがあります。
- 広告以外の接点の影響を無視できません。広告を見て後日検索で来た顧客の売上は、広告に紐づかない場合があります。
- 計算の前提(費用の範囲、期間)が違うROIは、比べられません。
- 短期の数字だけで判断すると、継続して価値を生む施策を止めてしまうことがあります。
関連用語
- CPC・CPA:広告費を一件単位で見る指標。
- CAC(顧客獲得費用):顧客獲得全体の費用を見る指標。
- LTV(顧客生涯価値):継続を含めた顧客の価値を見る指標。
- ユニットエコノミクス:顧客一人あたりの収支を見る考え方。
- ペイバック期間(CAC回収期間):獲得費用を回収するまでの期間。
- 関連する実践ノート:指標の定義を分母と期間まで含めてそろえる考え方をまとめています。
Otsumuに相談できること
売上基準と利益基準のどちらで判断するかは、事業の収益構造と資金の余力で変わります。評価の基準を整える部分から、一緒に考えられます。 Otsumuでは、指標の定義づけや計測の整え方を KPI設計のご支援 としてご相談いただけます。まだ考えが固まっていない段階でも構いませんので、状況の整理から 30分の無料相談 をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04