ホワイトラベルとは
ホワイトラベルとは、ある企業が開発・製造した製品やサービスを、別の企業が自社のブランド名やロゴを付けて、自社の商品として提供する形態のことです。
ラベルが白紙(white)の状態で提供され、受け取った企業が自社のラベルを貼って販売する、というイメージから来た言葉です。ソフトウェアやウェブサービスの分野で特によく使われ、予約システム、会員アプリ、ECの仕組み、決済、オンライン学習の仕組みなどを、導入企業のブランドで利用者に提供する形が典型です。
英語の white label がそのまま使われており、「ホワイトラベル製品」「ホワイトラベル提供」などと表現されます。
仕組み・ポイント
ホワイトラベルには、提供する側と、自社ブランドで展開する側の二者が関わります。
| 観点 | 提供する側 | 自社ブランドで展開する側 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 製品の開発、保守、機能追加 | 自社顧客への販売、ブランド管理、顧客対応 |
| 得られるもの | 販路の拡大、継続的な利用料 | 開発せずに自社サービスを持てる |
| 主なリスク | 展開側の顧客対応の質が見えにくい | 機能や品質を自社でコントロールしにくい |
OEMとの違いもよく問われます。OEMはもともと製造業の言葉で、委託側が仕様を決めて製造を任せる形を指します。ホワイトラベルは、すでに完成した製品やサービスに自社ブランドを付けて提供する形を指すことが多い言葉です。ソフトウェアの分野では、両者がほぼ同じ意味で使われることもあります。
SaaSをホワイトラベルで提供するときの設計要素
- ブランドの差し替え:ロゴ、色、ドメイン、メールの差出人名、利用規約の表示
- テナントの分離:導入企業ごとにデータや設定を分ける仕組み
- 管理機能:導入企業が自社の利用者を管理できる画面
- 機能の出し分け:導入企業ごとに使える機能を切り替える仕組み
- 請求の仕組み:導入企業への請求と、導入企業から利用者への請求の関係
実務での使い方・具体例
架空の例として、フィットネス向けの予約・会員管理アプリを開発した会社が、ホワイトラベルで複数のジムに提供する場合を考えます。利用者が見るアプリは、それぞれのジムの名前とロゴで表示されます。ジムは自社アプリを持てるうえ、開発費を大きくかけずに済みます。
提供する側として検討すべき手順は次のとおりです。
- 導入企業にとっての価値を整理する:開発せずに自社ブランドのサービスを持てる、など
- 差し替えられる範囲を決める:ロゴと色だけか、ドメインや機能構成まで変えられるか
- 役割分担を決める:利用者からの問い合わせ、障害時の告知、データの管理を誰が担うか
- 料金体系を決める:導入費と月額、利用者数に応じた課金、売上の分配など
- 個別対応の線引きを決める:導入企業ごとのカスタマイズをどこまで受けるか
特に手順5は重要です。導入企業ごとに機能を作り込むと、製品が枝分かれし、保守の負担が膨らみます。設定で切り替えられる範囲を広げ、個別開発は有料の別メニューにするなど、標準化を保つ方針を早めに決めておきます。
自社ブランドで展開する側としては、提供元のサービスが終了したり、条件が変わったりするリスクを考えておきます。データの引き出し方や、契約終了時の移行の支援について、契約前に確認しておくことが大切です。
よくある誤解と注意点
- ブランドを差し替えるだけで済む、とは限らない:メールの文面、通知、エラー画面、利用規約など、提供元の名前が出る箇所は意外に多くあります。
- 顧客対応の責任があいまい:利用者からの問い合わせを誰が受け、どこまで対応するかを契約で決めておきます。
- データの帰属を決めていない:利用者のデータが誰のものか、契約終了時にどう扱うかを明確にします。
- 個別対応が膨らむ:前述のとおり、標準化の方針がないと保守が難しくなります。
- アプリストアの規約を確認しない:スマートフォンアプリの場合、同じ仕組みのアプリを多数公開することに制約がある場合があります。最新の規約を確認してください。
関連用語
- OEM(相手先ブランド製造):他社ブランドの製品を製造する取引形態。ホワイトラベルと近い概念
- マルチテナント:複数の導入企業が一つのシステムを共有しつつデータを分ける構成
- BtoBtoC(B2B2C):導入企業を通じて消費者に届ける事業モデル
- レベニューシェア:ホワイトラベルの料金体系で使われることがある、売上を分け合う契約
- アプリストア審査:アプリを公開する際の審査。ホワイトラベルのアプリでは注意が必要
実践記事:SaaSのマルチテナント設計
Otsumuに相談できること
ホワイトラベルで提供するには、導入企業ごとのブランド差し替えやデータの分離、機能の出し分けをあらかじめ設計に組み込む必要があります。事業としての検討は新規事業開発コンサルティングで、複数企業に提供するシステムの開発はSaaS開発でご一緒できます。
まずは30分の無料相談で、提供を検討している製品についてお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01