ユーザーリサーチとは
ユーザーリサーチとは、製品やサービスの利用者を対象に、その行動、状況、考え方を調べ、設計や事業の判断に役立てる活動です。インタビュー、観察、アンケート、利用データの分析など、複数の手法を含む総称です。
「ユーザー」は利用者を意味します。購入する人と使う人が異なる場合もあるため、調べる対象が誰なのかを最初に定めることが、調査の出発点になります。
ユーザーリサーチの目的と手法の選び方
手法は、知りたい内容によって使い分けます。
| 知りたいこと | 向く手法 |
|---|---|
| 行動の背景や理由 | 一対一のインタビュー、観察 |
| 実際の操作で起きる困りごと | 行動観察、試作を使った確認 |
| 傾向や差の大きさ | アンケート、利用データの集計 |
| 生活や仕事の文脈 | 現場での観察、同行 |
調査は、次の流れで進めます。目的と問いを決める、対象者の条件を決める、手法を選ぶ、実施して記録する、分析して判断に結び付ける、の順です。
記録では、相手が言ったこと、実際にしたこと、調査者の解釈を分けて書きます。意見は後の解釈で変わりやすいのに対し、観察した事実は検証しやすいからです。
実務での使い方・具体例
架空の例として、勤怠管理サービスの画面改善を考える場面を想定します。チームは、実際の利用者数名に普段の打刻や申請の様子を見せてもらいます。すると、申請の画面で毎回同じ項目を探して手が止まる、スマートフォンで確認する習慣があるなど、画面設計の課題が見えてきます。
得られた事実を、頻度と影響の大きさで整理し、改善の優先順位を決めます。アンケートで「使いやすいですか」と尋ねるだけでは見えにくい箇所が、観察では分かりやすい例です。
新規事業の初期は、既存の利用者がいないため、近い課題を持つ人の現在のやり方を調べます。試作ができたら、実際に触ってもらう調査に切り替えます。
よくある誤解と注意点
ユーザーリサーチを、要望の集計と考えるのは誤解です。利用者の言う「こうしてほしい」は、必ずしも最善の解決策ではありません。背景にある目的と状況を理解することが目的です。
また、調査の対象者が偏ると、結論も偏ります。熱心な既存利用者の声だけを聞くと、離脱した人や使い始められなかった人の課題は見えません。
調査結果を報告書にまとめて終わらせず、具体的な判断に結び付けることも重要です。何を作る、何を止める、どこを直すという意思決定につながって初めて、調査の価値が生まれます。
調査の頻度も大切です。大きな調査を一度行うより、小さな調査を開発と並行して繰り返すほうが、新しい発見を判断に反映しやすく、手戻りも少なくなります。
手法を選ぶ前に、調査の結果で何を決めるのかを一文で書いておくと、調査の範囲が定まります。決めたいことが「どの課題を優先するか」であれば観察や面談を、「どの案が好まれるか」であれば比較の調査を選ぶ、といった具合に、判断から逆算して設計します。
調査は、一度に大きく行うより、小さく繰り返すほうが事業の初期には適しています。毎週数名に会う、毎月一つの問いを調べるなど、継続できる仕組みを作ると、顧客の理解が途切れずに深まります。
関連用語
- 定性調査:行動の背景や意味を理解するための調査の考え方です。
- 行動観察:実際の操作や作業を見て、説明とのずれを探る手法です。
- アンケート調査:広い対象から共通の質問で回答を集める手法です。
- ペルソナ:調査結果を一つの利用者像にまとめて共有する道具です。
Otsumuに相談できること
ユーザーリサーチは、手法の選び方と結果の読み方に判断が必要です。Otsumuでは、事業の段階に合わせた調査の組み立てと、結果の活用を支援しています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04