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DoorDash, Inc.「Marketplaces」に学ぶ事業設計:手数料と会員制

加盟店・消費者・Dasherの三者をつなぐマーケットプレイスで、Marketplace GOV $102.0 billion、売上$13,717 million(FY2025)。取引ごとの手数料に会員プログラムを重ねる構造を一次資料から読みます。

この事例の要点

  • DoorDash, Inc.は、DoorDash Marketplace、Wolt Marketplace、Deliveroo Marketplace(Marketplaces)とCommerce Platformを主な提供物とし、Marketplacesは40か国以上で展開して売上の大部分を占めています(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年の売上は$13,717 million(前年比28%増)、Marketplace GOVは$102.0 billion(27%増)、Total Ordersは3.2 billion(23%増)で、Net Revenue Margin(売上÷Marketplace GOV)は13.4%でした(Form 10-K、FY2025)。
  • 営業損益は2024年の$(38) millionから2025年は$723 millionの黒字に転じ、DoorDash, Inc.普通株主に帰属する純利益は$935 millionでした(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は「ローカル経済を成長させ、力づける」ことをミッションとし、Marketplacesは加盟店、消費者、配達を担うDasherの三者に向けたサービスだと説明しています。加盟店には顧客獲得、需要創出、注文の履行、決済処理などの一連のサービスを提供し、消費者はアプリやウェブサイトから地域の加盟店の商品を購入します。2025年12月時点の月間アクティブユーザーは56 million超、DashPass、Wolt+、Deliveroo Plusの会員は35 million超です(Form 10-K、FY2025)。

Dasherは多くの地域で独立請負人であり、いつ・どこで・どの仕事を受けるかを自ら選びます。2025年には9 million超の人がDasherとして配達し、合計で$20 billion超を得ました。Marketplacesに加え、加盟店が自社チャネルで事業を運営するためのCommerce Platform(ホワイトラベルの配達履行サービス「Drive」など)を提供しています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

売上の大部分はMarketplacesで完了した注文に対し、加盟店に課すコミッションと消費者に課す手数料から生じます。加盟店へのコミッションは注文された商品の総額に合意した料率を適用したもので、消費者には固定の配達料と取引規模に応じて変わるサービス料を課します。売上はこれらからDasherへの支払いと返金・クレジット・プロモーションを差し引いた額として計上されます。加えて会員費と広告商品の売上がMarketplacesの売上に含まれ、Driveは加盟店から注文ごとの手数料を得ています(Form 10-K、FY2025)。

費用面では、2025年の売上原価(減価償却費を除く)は$6,738 million(売上の49%)で、決済処理、キャンセル注文、保険、オンボーディング、サポート、技術インフラなどが含まれます。販売・マーケティング費は$2,476 million(18%)、研究開発費は$1,431 million(10%)、一般管理費は$1,600 million(12%)です。売上原価の増加のうち$815 millionが注文管理コストで、主にTotal Ordersの増加によるものと説明されています(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 売上$13,717 million、前年比28%増、Marketplace GOV $102.0 billion(27%増)(Form 10-K、FY2025)。物流効率の改善、広告収入の寄与、クレジット・返金の比率低下により、売上がGOVより速く伸びたことが読み取れます。
  • Net Revenue Margin 13.4%(2024年と同水準)(Form 10-K、FY2025)。注文総額のうち同社の売上として残る割合が安定していることが読み取れます。
  • 営業利益$723 million(2024年は$(38) million)、純利益$935 million(Form 10-K、FY2025)。費用合計が売上の107%(2023年)から95%(2025年)に下がり、黒字化したことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「オンデマンド仲介(ギグ型)」の型で読むことができます。注文が成立するごとに加盟店からコミッション、消費者から手数料を受け取り、そこからDasherへの支払いを差し引いた残りが売上になります。この型が成り立つ条件は、三者が同時に十分な規模で集まることです。同社が「Dasherの時間と労力をめぐって、他の収入機会や余暇とも競争している」と述べているように、供給側を確保し続けることが裏側の仕事になると読めます。

もう一つの「サブスクリプション」の型は、DashPass、Wolt+、Deliveroo Plusの会員プログラムです。同社はこれを「配達料とサービス料を引き下げることで取引の摩擦を減らす」ものと説明しています。取引ごとの手数料を下げる代わりに会員費を得る設計で、注文頻度を高めて手数料単価の低下を注文数で補う考え方と読めます。

トレードオフとして、売上がDasherへの支払いと返金・プロモーションを差し引いた純額であるため、Dasherの報酬や消費者への割引を増やせば売上は直接圧迫されます。同社はDasherの従業員への再分類が重大な影響を与えうるとも述べており、供給側の柔軟性が前提であると同時にリスクでもあると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の事業に需要側・供給側・担い手の三者がいるとき、どちらの獲得が先に必要か。
  • 取引ごとの手数料と定額の会員費を組み合わせるなら、会員が何回利用すれば手数料の値下げ分を回収できるか。
  • 供給側(外部の担い手)への支払いと顧客への割引は、売上の何割を占め、どの水準まで許容できるか。
  • 取扱総額と自社の売上を分けて見る指標を持ち、どちらの伸びを優先するかを決めているか。

小さく試すなら

  1. 自社の取引一件あたりについて、顧客から受け取る額、外部の担い手に払う額、割引・返金を書き出し、手元に残る比率を出す。
  2. 利用頻度の高い顧客20〜30人に、2〜4週間の定額プラン(手数料の割引と引き換え)を試験的に提示し、申込率と利用回数の変化を記録する。
  3. 供給側の担い手に、仕事を受けるかどうかの判断基準(報酬、時間、距離)を聞き取り、供給が細る条件を把握する。
  4. 定額プランで利用回数が増え、手元に残る額が減らないことが確かめられたら、対象を広げて継続率を追う。

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資料の位置づけ

企業・サービス:DoorDash, Inc. / ローカルデリバリーのマーケットプレイス(DoorDash・Wolt・Deliveroo)。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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