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OTSUMU KNOWLEDGE

パーソルホールディングス株式会社の人材派遣・BPO・人材紹介に学ぶ事業設計

人材派遣を収益基盤に、業務受託のBPO、技術者の派遣・請負、正社員の人材紹介を組み合わせる事業です。売上収益1,555,833百万円のSBU別の数字から、派遣の安定性と紹介・請負の収益性の組み合わせ方が学べます。

この事例の要点

  • 同社グループは、国内で人材派遣や人材紹介などの人材関連サービスを、APAC地域で人材サービス事業やファシリティマネジメント事業などを展開していると説明しています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 2026年3月期の売上収益は1,555,833百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は66,512百万円(同15.8%増)で、全てのSBUで増収となりました(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 中期経営計画FY2028では「AIを起点とした、収益性向上と事業モデル転換」を基本方針に掲げています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

事業は5つのSBU(Strategic Business Unit)で構成されています。Staffing SBUは事務領域を中心とする人材派遣と、事務職中心の人材紹介を手がけます。BPO SBUは受託請負のBPO事業、Technology SBUはIT・エンジニアリング領域の設計・開発受託と技術者の人材派遣を担います(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

Career SBUは、顧客企業の正社員の中途採用を支援する人材紹介事業や求人メディア事業を展開しています。Asia Pacific SBUはアジア地域で人材サービス事業を、豪州で人材サービス事業とファシリティマネジメント事業を行っています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

同社は、Staffing SBUとBPO SBUを市場成長が緩やかな「基盤」の領域、Career SBUとTechnology SBUを「モデル変革による成長余地が高い領域」と位置づけ直しました。さらに、フランスに拠点を置くGojob社を子会社化し、Frontline Worker領域(現場オペレーションや顧客との接点を担う職種)に注力するとしています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

人材派遣では、派遣就業者数と請求単価が売上を左右します。Staffing SBUの売上収益は、就業日数が1営業日少なかったものの、派遣就業者数が1.8%、請求単価が2.2%増えたことで増収になったと説明しています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

Career SBUでは、年収帯が6百万円以上のハイクラス層向けの人材紹介が好調で、二桁成長を実現しているとしています。Technology SBUでは稼働エンジニア数の増加が、BPO SBUではオーガニック成長と2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社の寄与が増収につながりました(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

費用面では、Career SBUがマーケティング投資を続けながら人件費などを適正に管理しているとし、Asia Pacific SBUはシステム刷新による費用増などで減益でした。今回参照した公開資料には、グループ全体の費用の内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • Staffing SBUの売上収益は608,086百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は30,416百万円です(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上規模が最も大きい収益基盤であることが読み取れます。
  • Career SBUの売上収益は152,866百万円、調整後EBITDAは34,932百万円です(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上に対して利益の厚い事業であることが読み取れます。
  • BPO SBUの売上収益は143,083百万円(同22.1%増)、営業利益は7,636百万円(同80.1%増)です(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。買収と受託の拡大で伸びていることが読み取れます。
  • Asia Pacific SBUの売上収益は496,354百万円、営業利益は7,639百万円(同1.6%減)です(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上に比べて利益が小さい領域であることが読み取れます。
  • ROICは18.2%、ROEは20.9%でした(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。前中期経営計画の目標(ROIC15%以上、ROE20%以上)を上回ったことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。人材派遣・技術者派遣の型は、人材を顧客企業に送り、その就業に対して料金を受け取る仕組みと考えられます。同社の説明どおり売上が就業者数と請求単価で動くなら、登録者を集め続ける力と、単価を上げられる職種へ広げる力が前提になると読めます。同社がStaffing SBUを「基盤」と位置づけたのも、安定した売上が見込める一方で大きな伸びは期待しにくい性質を表していると考えられます。

業務受託(BPO)の型では、人を送るのではなく業務そのものを請け負います。業務プロセスを設計し直せば、同じ人数でより多くの仕事をこなせるため、派遣より収益性を高めやすいと考えられます。同社がBPO SBUの戦略に「AI実装による業務自動化」や「業務プロセス再設計」を挙げ、Technology SBUで「請負比率上昇による収益性向上」を目指しているのは、この考え方に沿っていると読めます。

トレードオフは、請負や紹介の比率を高めるほど、業務の品質責任や、採用市場の変動の影響を受けやすくなる点です。同社はボリューム層向けの人材紹介では厳選採用が続いていると述べており、どの層に強みを持つかで収益が変わることが読み取れます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の売上は「人数×単価」のどちらで伸ばしているでしょうか。単価を上げられる領域はどこでしょうか。
  • 人や時間を提供している業務のうち、成果や業務単位で請け負える形に変えられるものはあるでしょうか。
  • 安定した収益基盤と、利益率の高い成長領域を分けて管理しているでしょうか。
  • 自社が集めている人材や顧客のデータを、マッチングの精度向上に使えているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 時間や人数で請求している業務を1つ選び、作業内容と所要時間を洗い出します。
  2. その業務を成果単位(件数や完了物)で請け負う場合の価格案を作ります。
  3. 2〜4週間で既存顧客数社に提案し、受け入れられる条件と、懸念点を記録します。
  4. 請負化で利益率が上がる見込みが確認できれば、業務の標準化と自動化の検討に進みます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:パーソルホールディングス株式会社 / 人材派遣・BPO・人材紹介。参照資料:2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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