この事例の要点
- 株式会社ラウンドワンは、ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャを備えた来場型の複合エンターテインメント施設を日本・米国・中国で運営しています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
- 2026年3月期の売上収益は189,548百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は28,773百万円(前年同9.7%増)でした(同)。
- 国内は99店舗体制で出店候補地が限定的とし、米国での出店と新サービスの開発に成長を求めています(同)。
どんな事業か
同社グループは若年層を主たる顧客層とし、ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャといった来場型のエンターテインメントサービスの提供を主たる事業としています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。セグメントは日本、米国、その他です(同)。
日本では、アーティストやゲーム、アニメコンテンツ等との期間限定コラボキャンペーンを積極的に実施し、需要が高いクレーンゲームでは当社オリジナル景品の拡充や多種多様な景品を展開しました(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。ボウリングでのリモートイベントや小中学生無料キャンペーン、一部店舗での無料キッズエリアの設置など、幅広い客層の集客も図っています(同)。
米国では大型ショッピングモールへ59店舗を出店し、ミニクレーンゲーム機の増台や音楽ゲーム、リデンプションゲームなどの機器を導入しました(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。中国は広州市、深圳市の3店舗体制で、2025年4月には中国初のアミューズメント専門店を出店しています(同)。その他セグメントでは、日本食を米国主要都市で展開する「ラウンドワンデリシャスプロジェクト」の準備を進めています(同)。
収益の仕組み
お金は、店舗に来場した顧客が利用するボウリング、アミューズメント、カラオケ、スポッチャ、飲食などから入ります(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。同社は主力商品をクレーンゲームと位置づけ、その収益向上には飽きの来ない魅力的な景品の提供が重要な課題だとしています(同)。当期は時期を見た戦略的な値上げも実施しました(同)。
売上には季節性があり、長期休暇の多い第2四半期及び第4四半期に売上高が増加する傾向があると説明しています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
費用については、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません。キャッシュ・フロー計算書の説明では、減価償却費43,276百万円の計上、有形固定資産の取得による30,468百万円の支出、リース負債の返済による30,292百万円の支出が挙げられています(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上収益は189,548百万円(前期比7.1%増)、営業利益は28,773百万円(同9.7%増)、売上収益営業利益率は15.2%でした(2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。増収以上に利益が伸びていることが読み取れます。
- 日本のアミューズメント収入は前年同期比6.2%増、カラオケ収入は6.6%増、ボウリング収入とスポッチャ収入はいずれも5.9%増でした(同)。複数のサービスがそろって伸びていることが読み取れます。
- 米国のアミューズメント収入は前年同期比9.2%増、ボウリング収入は8.8%増、スポッチャ収入は0.9%減でした(同)。飲食・その他収入は9.8%増で(同)、スポッチャ以外の収入が伸びていることが読み取れます。
- EBITDA(営業利益+減価償却費)は72,049百万円でした(同)。店舗設備への投資が大きい事業であることが読み取れます。
- 営業活動によるキャッシュ・フローは60,461百万円でした(同)。店舗運営から生まれる資金で出店と設備投資をまかなう構造が読み取れます。
- 2027年3月期の売上収益予想は219,090百万円(15.6%増)です(同)。増収を見込んでいることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。「施設運営・興行」の観点で見ると、同社は一つの大型施設に複数の遊びを集め、来場した顧客に施設内で複数のサービスを使ってもらう形と読めます。同社が「多店舗展開」「多様なエンターテインメントサービス」「景品の魅力」を強みに挙げているのは、集客と施設内での利用拡大を同時に回す構造を指していると考えられます。
この形が成り立つ条件は、何度も来たくなる理由を作り続けることです。期間限定コラボキャンペーンや景品の自社開発、クリエイターとの共同開発に力を入れているのは、同じ施設でも来るたびに新しさを感じてもらうための仕事と読めます。裏側では、景品の企画・調達、コラボ先との調整、機器の入れ替えを店舗の多さに合わせて継続的に回す運営力が必要だと考えられます。
トレードオフは、施設と設備への投資が重く、立地の選択肢が成長の上限になりやすいことです。同社自身、国内の出店候補地は限定的だとし、若年層の人口減少も課題に挙げています。そのため米国への出店や、日本食との掛け合わせといった新サービスで事業領域を広げようとしていると読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の施設や場に来た顧客が、一度の来訪で使えるサービスをいくつ用意できているか。
- 同じ顧客に「また来たい」と思ってもらう新しさを、どのくらいの頻度で、どんな手段で作れているか。
- 季節や曜日による売上の偏りを前提に、人員や企画の配置を組み立てているか。
- 今の形での出店余地が限られたとき、別の地域や別のサービスで広げる道筋を描けているか。
小さく試すなら
- 直近の来場者データや売上データから、一度の来訪で複数のサービスを使った顧客の割合と、その客単価を把握します。
- 既存の顧客層に響きそうなコンテンツや企業とのコラボ企画を一つ選び、期間を区切った小さなキャンペーンを設計します。
- 2〜4週間のキャンペーン期間中、来場数、新規顧客の比率、複数サービスの利用率を記録します。
- 新規顧客や複数利用が増えていれば企画の型として定着させ、変化がなければ企画の内容か告知の方法のどちらに原因があるかを見直します。
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資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社ラウンドワン / 複合アミューズメント施設。参照資料:2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27