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Tripadvisor「Viatorと体験予約」に学ぶ広告型から手数料型へ移る事業設計

口コミと広告で成長したTripadvisorが、体験予約のViatorとレストラン予約のTheForkを軸に、手数料型のマーケットプレイスへ重心を移す構造を、Form 10-K(2025年12月期)の数字から確かめます。

分類:企業事例 › 運輸・物流・旅行

この事例の要点

  • Tripadvisor, Inc.は、口コミ型の旅行サイトの広告収益を土台に、体験予約のViatorとレストラン予約のTheForkという「予約が成立したら手数料」型の事業を伸ばしています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年の売上高は1,891.3百万ドルで、体験(Experiences)セグメントは924.4百万ドル(前年比10%増)、ホテルその他は750.1百万ドル(前年比8%減)でした(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 同社は、体験とTheForkのマーケットプレイスを伸ばし、従来のホテルその他の事業は収益性を優先して運営する方針を示しています(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Tripadvisor, Inc.は米国マサチューセッツ州ニーダムに本社を置き、ナスダックに上場しています。同社は旅行者の情報収集から予約までを支える事業を展開し、2025年末に報告セグメントを再編しました。現在の区分は、体験(Experiences)、ホテルその他(Hotels and Other)、TheForkの三つです(Form 10-K、2025年12月期)。

体験セグメントには、体験専門のオンライン旅行会社であるViatorと、Tripadvisor上の体験予約が含まれます。ホテルその他は、ホテルの比較サイト(メタサーチ)やレストランの案内、クルーズ情報のCruise Criticなどの広告型の事業です。TheForkはレストラン予約のマーケットプレイスで、同社はTheForkの戦略的な選択肢を検討していると開示しています(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

収益の取り方は、セグメントによって異なります。

  • 体験:旅行者が体験を予約し、その体験が実施された取引に対する手数料が主な収益です。
  • ホテルその他:クリック課金(CPC)や成果報酬(CPA)の広告が中心で、メディア広告も含まれます。
  • TheFork:レストラン予約に関連する収益で、Tripadvisor上の予約を取り次ぐ際の手数料もグループ内で計上されます。
  • 費用:集客のためのマーケティング費が費用項目の中で最も大きく、2025年は791.4百万ドルでした。

以上は、Form 10-K(2025年12月期)のセグメント説明と損益計算書にもとづきます。

数字で確かめる

  • 売上高:1,891.3百万ドル(前年1,834.6百万ドル、3%増)、純利益:39.8百万ドル(前年4.9百万ドル)(Form 10-K、2025年12月期)。売上は緩やかな伸びでも、純利益が大きく改善したことが読み取れます。
  • 体験の取扱高(GBV):47億ドル(前年42億ドル、約13%増)(Form 10-K、2025年12月期)。取扱高が伸びている一方、第三者の販売経路で低価格の商品が増え、価格が下がっていることが読み取れます。
  • 体験セグメントの売上高:924.4百万ドル(前年840.1百万ドル)、調整後EBITDA:91.1百万ドル(利益率9.9%)(Form 10-K、2025年12月期)。成長しているが、利益率はまだ1割に届いていないことが読み取れます。
  • ホテルその他の売上高:750.1百万ドル(前年818.1百万ドル、2023年は901.5百万ドル)(Form 10-K、2025年12月期)。広告型の事業が2年続けて縮んでいることが読み取れます。
  • TheForkの売上高:220.8百万ドル(前年180.8百万ドル、22%増)、調整後EBITDA:20.4百万ドル(Form 10-K、2025年12月期)。予約型の事業も伸びていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は、「情報を集めて広告で稼ぐ」型から、「予約を成立させて手数料を得る」型へ重心を移す設計の例として読めます。口コミで集めた旅行者の注目は、広告に使うだけでなく、予約の入り口にもできます。予約が成立すれば、広告よりも収益の単位が明確で、取扱高と連動して伸びます。

ただし、手数料型は集客費がかさみやすく、体験の調整後EBITDA率も9.9%にとどまります。第三者の販売経路を使うと取扱高は増えても、平均価格が下がります。広告型で培った流入を、自社の予約に結びつけられるかどうかが、移行の成否を左右します。同社が事業の選択と集中を進めている点もあわせて見ておく価値があります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の集客や情報発信の力を、広告ではなく、成約への手数料に結びつける道はないか。
  • 取扱高が伸びても利益が伸びにくいとき、販売経路ごとの単価と費用をどう見るか。
  • 広告型の事業が縮むなかで、その資産(読者、会員、データ)をどの新しい事業に移せるか。

小さく試すなら

  1. 自社の記事・資料・メルマガなどの流入先を、問い合わせや購入に至った経路別に整理する。
  2. 流入の多いページを3つ選び、そこから提携先の商品を予約または申込みできる導線を試作する。
  3. 2〜4週間、導線を通った件数と、成約した件数を記録する。
  4. 成約1件あたりの手数料と、導線を作る・運用する手間を比べ、続けるかどうかを判断する。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Tripadvisor, Inc.「Viator・TheForkと旅行体験の予約」。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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