コホート分析とは
コホート分析とは、同じ時期に登録した、同じ経路から来たなど、共通の特徴を持つ人の集団(コホート)に分け、その集団ごとに、時間の経過に伴う行動の変化を追って比較する分析手法です。「コホート」は、もともと古代ローマの軍隊の単位を指す言葉で、現在は、共通の特徴を持つ集団の意味で使われます。
全体の数字だけを見ると、新しい顧客の増加によって、継続の悪化が隠れてしまうことがあります。コホートごとに見れば、時期による違いが明確になります。
製品の改善や、施策の効果を確かめたいときに、「改善の前に始めた人」と「改善の後に始めた人」を比べる場面などで活躍します。
仕組み・ポイント
典型的な表は、行が「始めた時期」、列が「経過した期間」で、各マスに継続している割合などを入れます。
| 始めた月 | 開始から1か月後 | 2か月後 | 3か月後 |
|---|---|---|---|
| 1月に始めた群 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 |
| 2月に始めた群 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 |
| 3月に始めた群 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 | 継続の状況を記入 |
読み方のポイントは二つです。一つは、横方向(同じ群の時間の変化)で、どの時点で離れやすいかを見ること。もう一つは、縦方向(群の間の比較)で、新しい群のほうが改善しているかを見ることです。
注意点として、群の人数が少ないと、数値が大きく揺れて、判断を誤りやすくなります。また、群の分け方(時期、経路、使った機能など)によって、見えることが変わるため、知りたい問いに合わせて選びます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、ある月に使い方の案内を改善したアプリを考えます。全体の継続の数字は変わらないように見えました。しかし、案内の改善前に始めた群と、改善後に始めた群に分けて比較すると、改善後の群は、最初の週を過ぎても継続する人が増えていました。
全体の数字では、古い顧客の動きに紛れていたため、効果が見えなかったのです。コホート分析により、改善の効果が確認でき、同様の改善を続ける根拠になります。分析の結果は、群の人数も併記して共有します。
分析の結果は、表だけでなく、時間の経過を線で描いた図にして共有すると、傾向が一目で分かります。群ごとの線を重ねて見ると、改善の前後で形が変わったかが分かりやすくなります。関係者への報告では、結論とともに、群の人数と分析の限界も添えます。
判断のチェックポイント
- 群の分け方を、知りたい問いに合わせて決めたか
- 各群の人数が、判断に足りる規模か確認したか
- 継続の定義を、全ての群で統一しているか
- 改善の前後の群を、比較できる形にしているか
- 時間の経過に伴う変化を、横方向に確認したか
- 結果を、群の人数とともに共有しているか
よくある誤解と注意点
- 全体の平均だけで判断しない:群ごとの違いが隠れます。
- 人数が少ない群の数字を過信しない:揺れが大きくなります。
- 因果を断定しない:時期の違いによる他の要因も考えます。
- 分け方によって結論が変わる:目的に合った切り口を選びます。
- 一度の分析で完結しない:継続して確認します。
関連用語
- リテンション(継続率):コホート分析で見る代表的な指標
- セグメント分析:顧客を特徴ごとに分けて見る分析
- 相関と因果:相関と因果の違い
- プロダクトアナリティクス:製品の利用状況の分析
- 関連する実践ノート
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04