NPSとは
NPSとは、顧客に「この製品やサービスを知人に勧める可能性はどれくらいか」を尋ね、その回答から算出する指標です。顧客の推奨意向を測ります。
平たく言えば、「人に勧めたいと思う顧客が、勧めたくない顧客より多いか」を見る方法です。推奨者の割合から批判者の割合を引いて求めます。
NPSはNet Promoter Scoreの略で、ネット(差し引き)とプロモーター(推奨者)の名前が由来です。広く使われている手法ですが、数字の意味は、質問する対象や時点で変わります。
仕組み・ポイント
一般的な方法では、0から10の十一段階で回答を求め、回答者を三つに分けます。
| 区分 | 回答の範囲 | 意味 |
|---|---|---|
| 推奨者 | 高い点数 | 積極的に勧めてくれる |
| 中立者 | 中間の点数 | 満足しているが、勧めるほどではない |
| 批判者 | 低い点数 | 不満があり、否定的に伝える可能性がある |
算出は「推奨者の割合 − 批判者の割合」です。数字そのものより、点数の理由を自由記述で聞く部分に価値があります。
運用の要点は次の通りです。
- 誰に、どの時点で聞くかを決める(導入後、更新前など)。
- 同じ条件で継続して測る。
- 回答の理由を分類し、改善の施策につなげる。
- 批判者には個別にフォローする。
回答数が少ないと数字が揺れます。回答者の偏りにも注意し、数字は傾向をつかむ材料として扱います。
実務での使い方・具体例
架空のサービスで、導入から三か月後の顧客にアンケートを送るとします。点数と一緒に、理由を一文で書いてもらいます。批判者の理由を分類すると、「設定が難しい」「サポートの返信が遅い」といった声が集まるかもしれません。
その中で最も多い理由から改善に着手します。たとえば設定の難しさなら、初期の案内を見直します。改善後に同じ質問を実施して、批判者の声が減ったかを確認します。
回答の記録は、点数だけで終わらせず、顧客ごとの状況(契約の規模、利用の期間)と並べると、どの層に課題があるかが見えます。数字を担当者の評価に直結させると、回答への圧力を生むため避けます。
回答を集めるときの配慮
回答の依頼は、顧客の負担にならない頻度と長さにします。回答が増えない場合は、質問の目的を丁寧に伝えることが有効です。回答を受けたら、どう改善に使ったかを顧客に伝えると、次の回答にも協力してもらいやすくなります。
数字の使い方
数字は目標にするより、変化の兆しをつかむ道具として使うのが適切です。たとえば、点数が下がった月に何が起きたか(機能の変更、障害、料金の変更)を振り返れば、顧客の反応を製品の判断にもつなげられます。
よくある誤解と注意点
- NPSが高ければ売上が伸びる、とは限りません。 推奨意向と実際の行動は一致しない場合があります。
- 点数だけを追いかけ、理由を見ないと改善につながりません。
- 回答者が一部の顧客に偏ると、実態を表しません。
- 他社の数字と比べても、聞き方や対象が違うため、意味が限定的です。自社の推移を見るために使います。
関連用語
- CSAT(顧客満足度):満足度を回答で捉える別の指標。
- VOC(顧客の声):顧客の声を集めて整理する取り組み。
- リテンション(継続率):推奨意向と並べて見る継続の指標。
- カスタマーサクセス:顧客の成果を支える活動。
- チャーンレート(解約率):解約という結果を測る指標。
- 関連する実践ノート:指標の定義を分母と期間まで含めてそろえる考え方をまとめています。
Otsumuに相談できること
顧客の声を、改善の判断に活かす仕組みづくりが重要です。質問の設計や、回答の整理、改善への結びつけを一緒に検討できます。 Otsumuでは、指標の定義づけや計測の整え方を KPI設計のご支援 としてご相談いただけます。まだ考えが固まっていない段階でも構いませんので、状況の整理から 30分の無料相談 をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04